銅の摂取量が高いと物忘れが多くなる
最新の人での研究結果ですが、食事に含まれる主要栄養素のうち【銅】の摂取量と物忘れの相関性が指摘されています。
銅は食材の中では、レバーや牡蠣、ナッツ類、大豆、ココアなどにも豊富に含まれます。
重要なミネラルの一つですから、各種ミネラルをミックスしたサプリメントには必ず含まれ、不足を心配する方に人気ですが、通常の食事で不足することもまずありません。
現代の食生活では、人も犬もむしろ過剰摂取による問題の方が多いように思います。
冒頭に挙げた研究では、銅がタンパク質の一種アルブミンに結合することによって、脳関門を突破し、脳に蓄積していくことが書かれています。
犬では肝臓に蓄積する銅が、急性または慢性の肝臓障害を起こすことが度々指摘されており、カウンセリングの現場でも銅過剰と思われるケースは少なくありません。
犬の銅過剰の原因
通常の食餌(手作り食)で銅が過剰にならないのは、犬も同じです。
問題はビタミン・ミネラルを添加したペットフードです。
犬の肝臓に蓄積した銅の量と、市販のペットフードの銅添加量には、相関性が見られます。
必読!関連ブログ⇒肝臓はどうなる?
なんでそんなに添加しているかというと
・ミネラルやビタミンは加工時に減損しやすいから添加しないとバランスが取れない
・ミネラルは吸収が悪いから、多めに添加しないと不足する
というのが理由です。
しかし実際はミネラル単体では吸収が悪くても、生体で消化・吸収される過程は非常に複雑で、他の栄養素や物質と結合して利用されるのがほとんどです。
この辺のメカニズムは、正確に分かっていないことが多く、保存剤や着色料など近年出てきた食品添加物との関係は、予想不可能なことも発生します。
どちらにしろ、過度な衰弱や食餌が取れないような特別な状況下でない限り、普段の食餌で銅が著しく不足する状況はほぼないと言っても過言ではないので、サプリメント等で摂取する必要はありません。
肝臓の銅蓄積によって起こる亜鉛不足
肝臓を患うと、胆汁への銅排出が鈍り、肝臓への蓄積が益々増え悪循環に陥ります。
同時に銅と亜鉛は腸管での吸収が競合しており、
銅が多い=亜鉛の吸収が減る
となります。
そのため肝臓を患っている個体が、亜鉛不足に陥いることがよくあります。
これを逆に利用すると・・つまり亜鉛の摂取量を上げると、銅の蓄積を軽減できます。
肝臓を保護する栄養素
過剰になりやすい、または過剰になると問題を起こしやすいため、日々注目しているのは今回の【銅】の他【ビタミンA】【ビタミンD】があります。
ビタミンAもまた過剰になると肝臓に損傷を与えます。
ビタミンDは免疫力を上げ、カルシウムの吸収を高めてくれますが、脂溶性のため過剰になっても簡単に排出されず、結石の原因になることもあります。
結石を繰り返す時、カルシウムやマグネシウムの比率や摂取量は注目しますが、ビタミンDは盲点です。
そういう観点からも、繰り返す結石症には、治療が落ち着いた段階で手作り食をお勧めしています。
一方、肝臓を保護する栄養素として【ビタミンC】【ビタミンE】【ビタミンK】があります。
犬は肝臓でビタミンCを産生しているため、損傷を受けると産生量が減り不足します。
ビタミンCは肝臓の損傷を防ぐ役目もするので、肝臓がダメージを受けている時は積極的に摂取する必要があります。
また肝臓の細胞膜を形成する重要な成分として脂質がありますが、この脂質の酸化を防ぐためにビタミンEが必要です。
同時に損傷を受けている肝臓では、血液凝固の異常が発生します。
これをサポートするにはビタミンKです。
ビタミンCは水溶性ですが、EとKは脂溶性なので、これも大量に摂る必要はありません。
通常の食餌で摂取できる範囲で十分です。
特にサプリメントなどで使われる合成のビタミンEは、物質を安定化させるために天然にない物質を結合させているので、本来の抗酸化作用はありません。
またペットフードに使用されるビタミンKは、その毒性から人間には使用できない合成のビタミンK3を使用していることも多いため、全くお勧めできません。
(どのビタミンKを使用しているかは、各メーカーにお尋ねください)
ビタミンCは、季節の果物や野菜。
ビタミンEは新鮮な植物油やすりごまなど。
ビタミンKは是非納豆から摂取して下さい。
関連ブログ⇒ビタミンKのお仕事
関連ブログ②⇒栄養素と免疫(ビタミンA編)
#銅 #ミネラル #青い森工房 #犬 #健康 #過剰摂取 #弊害 #肝臓 #肝機能 #春夏秋冬 #肝機能障害 #ペットフード #食餌悩み #亜鉛 #ビタミンE #ビタミンK #ビタミンC #腎臓 #結石