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米が穀物の中でもすごい訳②~医食同源!そして犬猫との絆



小麦のアミノ酸バランスを補正するのに不可欠な食材

小麦のアミノ酸含有量は全般的に低く、肉や乳製品と組み合わせて摂らないと、タンパク質が著しく不足します。



南米などで食べられているタコスやトルティーヤの原料となるトウモロコシも同様で、特に必須アミノ酸の中でもリジンが著しく不足しています。



必要量を100とした場合それぞれのリジン量は

小麦 29 

トウモロコシ 24 

米 49

米も必要量の半分ほどしかないわけですが、これを補ってきたのが、魚と大豆などの豆類です。



小麦やトウモロコシを主食とし、栄養的にバランスを取るには肉や乳製品もそれなりの量が必要です。

そうすると、また広大な牧草地も必要になるわけです。



つまり米に比べ、面積当たりの収量が低い小麦の作付&畜産(酪農)には、広い土地が不可欠なのです。



そういった意味でも古代の日本人が、主食に米を選んだのは偶然かもしれませんが、結果的には必然だったのでしょう。


私たちの食生活に欠かせない米と豆の組み合わせ

ご飯に納豆、味噌汁、豆腐

お餅にきなこ、醤油、小豆(ぜんざい・あんこ)



どれも定番の組み合わせですね。


小豆は栽培環境を選びますが、大豆は全国で作りやすい豆です。

日常食としての豆は、やっぱり大豆です。

関連ブログ⇒大豆の不思議





小麦やトウモコシにも栄養的・栽培的利点はありますが、肉や乳製品と組み合わせることで、脂質も多く摂取せざるを得ないという悩ましい問題があります。



つまり栄養的に満たしながらも、カロリーをコントロールするのはやや難しいのです。



その点、米のパートナーとして長く存在する大豆は、豆類の中でも脂質を多く含みますが、アミノ酸バランスが良く、少量でもバランスを取りやすいという特徴があります。



医食同源!漢方生薬としての米と小麦

うるち米は『粳米』と書き、漢方生薬として古くから使われています。

いわゆる”玄米”のことです。


漢方生薬としては『こうべい』と読み、胃を養い滋養強壮の漢方薬を構成する生薬として使用されています。



風邪が治っても咳だけが長引く時に使う麦門冬湯(ばくもんどうとう)とか、熱を冷ましたい時に使う百虎湯(びゃっことう)にも配合されています。



麦門冬湯は『麦』の字が入っていますが、麦類は使っていません。

麦門冬というユリ科の植物の根がメインとなっています。


そして小麦も『しょうばく』と読み、やはり漢方を構成する生薬の一つです。



こちらはイライラ、不安、不眠、幼児の夜泣きや疳の虫などにも有効な甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)に配合されています。


こっちの『麦』はまさに小麦のこと。

そして大棗とはナツメのこと。


甘草・小麦・大棗で構成されているので、漢方薬の中でも甘く、飲みやすさはトップレベルです。

そのため子供に使われることも多いのですが、もちろんグルテンを含むので、小麦アレルギーの方は注意が必要です。




まさに『医食同源』を示す両者で、本来ここまで悪者にされることもなかっただろうに・・と思ってしまいます。




驚異の進化は偶然か

イネ科の植物は、元々ユリ科の植物から進化したと言われています。

地球が過酷な環境になった時に登場しただけに、その進化力は半端ではありません。



我々が食べている部分は”種子”ですが、普通完熟した種は、地面に落ちます。


当たり前ですが、土に戻らなければ、次の発芽はありません。



そして麦類は他の植物同様、複数の根を出しますが、米は一本しか出しません。


麦も結局1本の根を残し、他の根は枯れてしまいますが、この過程がないことも米が最小限のエネルギーで、より多くの種を付ける能力と無関係ではないでしょう。


しかしある時、完熟しても地面に散らばらない突然変異株が出現しました。



お米を米びつに移す時、うっかり床にこぼすと集めるのが大変ですよね。


それと同様に・・いや床以上に土の上に落ちた種子を集めるのは大変です。


つまりこの突然変異がなければ、人間がイネ科の植物を主食にすることはなかったと思われます。



人間用に突然変異した?!

完熟した種が地面に落ちることを「脱粒性がある」と言いますが、米や麦はある時「脱粒性がない」という突然変異を起こしました。


これは本来、植物にとって致命的な変異であるはずです。

次世代を担う種が、発芽するチャンスがなくなるのですから・・。



ところがそれらを主食とする”人間”にとってありがたい変異でした。


なぜなら刈り取った後、束ねて乾燥させることができます。

そして脱穀した後のワラを利用できるようになりました。

ワラは家畜の餌にしたり、敷き詰めて保温性を確保したり、編んで敷物や草履などにもなりました。


そしてワラに住み着いた納豆菌の存在は、現代の私たちの健康に貢献しています。


つまり納豆も、ワラがなければ生まれなかったし、もっと言えばその前に、脱粒性のない米がなければ存在しえなかったのです。

一方、米の側から見ると、人間がより強い株を選んで丁寧に管理し、苗を植え大事に育ててくれます。



人間の手を借りることで、より確実に次世代が広がる手段を得たわけです。

脱粒性のない株を見つけたのも、それを増やしたのも人間ですが、米にとっても悪い話ではなかったのかもしれません。



この偶然の出会いが、地球上の生物分布をこれほど変えるとは、当時の植物にとっても予想外だったでしょう。


犬のお仕事、猫のお仕事

人間より、早い時代に地球の住民となっていた犬や猫の祖先たち。


彼らもまた、人間のそばにいることによるメリットを得ました。




狩猟生活に頼っている頃は、犬の役目が非常に大きかったと思います。

しかし農業・・特に穀物を栽培・備蓄するようになってからは、猫の役目も増えてきました。



なぜなら彼らの食餌となる小動物が、穀物を求めて寄ってくるからです。

人間が収穫した穀物倉庫のそばにいれば、獲物を探し回る必要がありません。



人間はこの穀物栽培を発展させ、今度は畜産を始めます。

すると鶏・牛・豚などの餌を横取りしようとする小動物を追い払うために、犬猫の仕事はさらに増えます。



これほど人間の生活に深く関わった動物はいないでしょう。

衣食住の中の特に『食』と『住』を確立する上で、犬猫の存在は欠かせなかったと思います。



犬猫の働き方改革

現代の犬猫は、初期の頃とは仕事の種類が変わってきました。




夜間襲ってくる外来者から守ってくれる警備会社の登場や、倉庫の気密性向上で、その手の仕事からは退きましたが、人間の目や耳の代わりを務める仕事や海外からの違法持込み物を見つける新たな仕事にも就きました。




特殊な訓練を受け、専門性の高い仕事が増えたのも人間界と似ていますが、同時に肥満やそれに伴う疾患(糖尿病・関節炎・ガンなど)が増えているのもそっくりです。

そして精神的な問題がクローズアップされているもの似ています。



多くの犬猫が、狩や警備など体力を多く消耗し危険を伴う仕事から解放されたのに、彼らの仕事量が減っているとは思えません。



今世紀では、人間が精神的な支えを犬猫に求めているように、犬猫も精神的な繋がりを求めていると感じることがあります。



このような捉え方は、

「擬人化しすぎ。人間の勝手な思い込み」

と批判を受けることも多いですが、彼らの精神性を否定する根拠もないはずです。


植物の進化は、気候の変化だけでなく、それを食べる動物にも対応してきました。



米や麦の突然変異がなければ、今に続く犬猫との関係も築けなかったことでしょう。



野菜や果物と違い、穀物の存在は定住を可能にした人類史に関わる食べ物です。



と同時に、犬族史や猫族史(?!)にも影響を与える存在だったのは間違いありません。




それなのに麦類に含まれるグルテンが、腸内で色々問題を起こすことが分かり、それが精神的な影響すら引き起こすと言われています。


再び麦類になにか変異が起こっているのか?

それともヒトやイヌ・ネコに変化が起こっているのでしょうか?



どちらにしろ、米による腸内の問題はほとんど起こっていません。

むしろ腸内を保護する成分が見つかっているほどです。



そんな優秀な米も、小麦に先立ち遺伝子組み換え米やゲノム編集米が栽培されています。



これまで人間に寄り添って進化を続けてきた米ですが、この不自然な技術にどのような返事を出すのでしょうか。



いきなり取り返しのつかない答えが返ってこないように祈るばかりです。


関連ブログ⇒国産米が消える日⑤


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