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米が穀物の中でもすごい訳①~グレインフリーフードの是非


健康に気を遣っている方に人気の黒米や赤米。

雑穀米として粟やキビなどと一緒にブレンドしてある商品も見かけます。



一説によると、白米はこの黒米や赤米の突然変異種だったと言われています。

たまに”白いカラス”とか”白いたぬき”がいるように、米の”アルビノ”ではないかと・・・。



黒米や赤米の色素はアントシアニンですが、

「白ワインより赤ワインはアントシアニンが含まれるから体に良い」

と言われるのと同じ理由で、抗酸化作用で米を病気から守っています。



そのため白米は、黒米などに比べると病気に弱かったのですが、古代から”白”という色には神聖なものを感じていたのでしょう。



白鹿や白ヘビが神様の使いだと言われてきたように、突然現れた白い米にも何か特別なものを感じたのかもしれません。



そのためこの白い米を、大切に増やしていったと考えられています。


そしてもち米は、さらにこの白米(うるち米)の突然変異と考えられています。



近年、甘くもちっとした低アミロース米が人気で、ゆめぴりか、ミルキークイーンなどはその代表です。


しかし究極の低アミロース米がもち米です。

低アミロースどころか、アミロースが含まれていません

すべてアミロペクチンで構成されています。

そのためあの粘りがでるのです。




お正月と言えば”お餅”というように、昔から特別な時に食べるものでした。

突然変異の中の突然変異ですから、それはそれは貴重だったでしょう。



もち米を漢字で書くと『糯米』と書くように、性質が『濡れる米』なんですね。

うるち米(粳米)と違って水分を吸収しやすいため長期保存に向いていません。



その証拠にうるち米はたっぷりの水に浸してから炊きますが、もち米は水を吸わせた後蒸しますよね。


この調理方法の差も、また現在は真空パックのお供えが主流になったので忘れがちですが、乾燥した冬場でもカビやすいのが特徴です。




だからこそ秋の収穫直後、氏神様にお供えしたり、お正月に歳神様のお供えする特別食だったわけです。


夏祭りにお餅を供えるという所はないと思います。

『供えない』というより『供えられない』というのが本当のところでしょう。



実際、端午の節句あたりが保存の限界だったと思われます。



ちまきは平安時代から食べられているそうですが、抗菌性の高い笹で巻き、梅雨直前の不安定な気候での保存性を高めたのでしょう。



江戸時代あたりから食べられているらしい柏餅などは、上新粉(うるち米)で作るものなので、餅の代用品という感じがします。



同様に稲刈り直前のお月見に備える月見団子も、もち米ではなく上新粉。

収穫から1年近く経って、割れたり粉になった白米を練って団子状にしたのが始まりのようです。



もち米が使えない時期でも、餅を模した食べ物を供えてきたのは興味深いです。


もち米がうるち米以上に貴重なのは、不思議な遺伝的特徴を持っていることもあります。



イネは基本的に自分の花粉を自分のめしべに付けて、種を作ることができます。

ちなみに私たちが”白米”として食べているのは、イネの種子の胚乳部分です。



白米には小さく欠けている部分がありますが、玄米や胚芽米にはあそこに”胚芽”があります。


つまり哺乳動物に例えれば

胚芽=赤ちゃん

胚乳=母乳

です。


うるち米かもち米かというのは、この胚乳部分の質の差です。




アミロースを持たないもち米の性質は、もち米同士の遺伝子が受け継がれた時にしか出現しません




つまり

もち米にうるち米の花粉が付く⇒うるち米

になってしまうのです。


一方、うるち米にもち米の花粉がついても、うるち米にしかなりません。



すると当然昔は、

『もち米を植えたはずなのにうるち米になってしまった』

というようなことが起こっていたと思います。



当時の人にとってこういう不思議な現象は、神様の仕業だと思ったでしょう。


そのためもち米を少し離れた特別な場所・・・例えば神社の近くとか、崇める山の近くとかに植え、より神聖なものとして育てられてきたように思います。




グレインフリーフードの是非

そんな特別な存在の米は、近年【グレインフリーフード】=穀物不使用フードの広まりで

『食べてはいけないもの』

として認識されつつあります。


ペットフードなるものは欧米諸国(主にアメリカ・ドイツなど)で作られ始め、ベースとなる穀物は、米ではなく小麦や大麦、トウモロコシなどが中心です。

関連ブログ⇒藩士のコーヒー②海軍とドッグフード しかし近年、小麦やトウモロコシによるアレルギーが増えたため、グレインフリー(穀物不使用)フードというものを作り始めたのですが、そもそも米はほとんど使ってないのです。

作る側の立場から見ると、アレルギーの増加と同時に供給と価格を安定させるための決断でもあったように感じます。



グレインフリーフードで心臓病リスクが上がる?

昨年アメリカで、フードの実名も含めて発表された時、国内でも少し話題になりました。 私もすぐに読んでみましたが、心臓病と穀物不使用の関連性を証明するには、栄養学的にも生物学的にも、現時点のデータだけでは弱いと感じました。 (つまりこの結果を持って、グレインフリーの良し悪しを判断するのは早計) 実名を出されたフードは、どれもプレミアムフードと呼ばれるグレードものばかりで、日本でも人気があるものも含まれていました。 正直なところ栄養的な是非の前に、 『街の動物病院ではなく、心臓の専門医に診断を仰ごう・・という方ならばこのグレードのフードを食べさせていて当然だろう』 というのが第一印象です。




これはあくまでもカウンセラーとしての個人的な経験則ですが、専門性の高い医療機関で治療を続けようという方が、2㎏1000円前後で買えるフードを食べさせているケースは聞いたことがありません。 つまり実名を挙げられたフードが、とりわけリスクの高いフードで、その他のフードなら安心・・という判断は現時点ではするべきではないと。 高価なフードなら安心・・・と言うつもりもありません。 特に輸入フードは、関税や輸送費、そして輸入元の直輸入なのか代理店なのか・・などによってかかる経費が違い、価格だけで質の優劣を判断するのは非常に難しいと思います。 そもそもアレルギーがある場合はともかく、穀物を使用しないことが犬猫の健康に、どれほど寄与しているか・・という点も明らかではありません。

穀物がダメで豆類やイモ類なら安心?!

穀物は不使用でも、炭水化物源は必要なので、豆類やジャガイモは使用しています。

確かに今の所、イモ類のアレルギーリスクは低いです。 しかし遺伝子組み換えやゲノム編集ジャガイモが増えてきている今、ジャガイモのタンパク質変異が、どんな形で出現するかヒヤヒヤしています。 遺伝子組み換え大豆のように、必要な加熱温度が異常なほど高かったり(220℃25分)、ノミ・ダニ・甲殻類アレルギーの発症リスクを高める遺伝子配列を持っていては、安全な食材とは言えません。 関連ブログ⇒パスツールVSコッホ⑥現代の課題 小麦やトウモロコシがアレルギーの原因として問題になるのは、それらの穀物に含まれるグルテンです。 米にはグルテンが含まれません。 (注:米にもタンパク質は含まれます。ただグルテンという形では存在しないということです) もち米のモチモチ感も、グルテンではなく高分子の糖であるアミロペクチンです。 つまり米を他の穀物と一括りにして排除するのは、健全な議論ではありません。



栄養学的理由ではないもう一つの重要な理由

小麦やトウモロコシアレルギーの増加と同じくらい、グレインフリーが広まった理由に、世界的な穀物価格の上昇が無関係とは思えません。 その原因は人口増加バイオエタノール推進です。 人口増加によって、単純に小麦製品の消費が増えているだけでなく、食肉の消費量も増え、飼料となる穀物を大量に必要としていることにあります。 一方トウモロコシは、石油・石炭に代わるバイオエタノールの原料として、世界中から引き合いがあります。 これらの理由に追い打ちをかけたのが、異常気象による不作や自然災害の影響。 それらがさらに穀物相場を押し上げ、ペットフード原料として価格的に合わなくなってきたのです。


米はなぜこの流れの影響を受けなかったのか

世界的には小麦やトウモロコシを主食にする人口より、米を主食とする人口の方が多いです。 それなのに、なぜ米はその影響を受けなかったのでしょうか。 その理由はいくつかありますが、麦類と同じイネ科なのに米だけが持つ特徴が関係しています。 それは収穫量の多さ 小麦にしろ大麦にしろ麦類は、一粒の種から20粒程度収穫できます ところが米は、一粒の種が110粒~140粒にもなります。 つまり小麦を主食にするには、大きな面積がないと必要量が収穫できないことを意味します。 日本のように国土の8割が山地で平野が少ない土地は、そもそも作付には向いていません。 気候や土壌の質による向き不向き以前の問題です。 続く⇒②医食同源!そして犬猫との絆 関連ブログ⇒グルテンフリーです

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