平成17年に青森県の奨励品種になった≪まっしぐら≫。
このお米の名前の由来は、
あおもり米の食味・品質の追及に「まっしぐらに」、
そして、きまじめに取り組んでいく気持ちを込めました。
引用:青森県産米需要拡大推進本部HPより
一足早く、平成9年に青森県初のブランド米として華々しくデビューした≪つがるロマン≫
こちらはその名の通り、津軽地方での作付が中心の品種です。
そもそも気候的な条件だけでなく、津軽地方とその他の地域では土壌に差があり、米の作付に向いてません。
その代わり昔から特に南部地方は、蕎麦や麦、豆類、雑穀類の栽培が中心でした。
どんなに科学が進歩しても、気象をコントロールしたり土壌の質そのものを変えることはできません。
そうなると作付物そのものの能力を、最大限に伸ばすしかありません。
【青森米】と名乗るなら、青森県どの地域でも作れる米を生み出したい。
しかも美味しく、冷害にも病気にも強い品種を・・・。
そんな関係者たちの念願かなって、市場デビューしたまっしぐらでしたが、世間での評判は
「青森の米にしては割と美味しい」
「ブレンド米に使いやすい」
「価格もそこそこなので、飲食店で使いやすい」
まさに『味もそこそこ、価格もそこそこ』という”そこそこの評判”でした。
しかし見方を変えると、
・様々な品種とブレンドされても一定のレベルを保てる品質。
・和食、中華、洋食と様々な飲食店で使われ、どんな食事にも合わせられる食味
ということになり、実は潜在能力の高い万能選手だったのです。
弊社のフード開発の際も、当然候補に挙がりましたが、お付き合いのある農家さんの主力品種がつがるロマンだったのでそちらを採用しました。
つがるロマンの方が栽培経験も長いので、農薬や肥料に頼らない技術がある程度確立していることも選んだ理由でした。
しかし実は先月のロットを作る時、再び「まっしぐらに変えようか」という話が出たのです。
なぜならここ数年、明らかに味も良くなり、炊いている時の香り、粒の良さが際立ってきたのを感じていたからです。
決定的だったのは、それに比例するように変化した、我が家の犬たちの反応です。
仕事柄、全国各地の気になる品種を試していますが、炊き上がり5分前になるとワンコ達が炊飯器の下でスタンバイして、ガン見するのは、青天の霹靂とまっしぐらだけなのです。
もちろん食いつきも違います。
さすがに青天の霹靂は、価格的にきついので、まっしぐらへの変更を本気で考えているところでした。
平成30年度は天候不順で収穫量がやや落ち、食味もA´評価に下がっていましたが、個人的には「味、そんなに変わってないのにな・・・」と思っていたので、今回の特A評価は格別の嬉しさでした。
(ただのファンで、関係者でもないのに・・・(^_^;))
まさに名前の通り、農家さんや栽培指導員の方々が生真面目に品質や食味を追求し、まっしぐら自身も15年間潜在能力を積み重ねた結果が、『特A』評価につながったように思います。
それは青森県出身で『おしん横綱』と呼ばれた隆の里関の姿と重なりました。
よく「名選手が名監督になるとは限らない」と言われますが、隆の里関は親方として横綱稀勢の里を育てました。
これがまた、まっしぐらの孫として青天の霹靂が生まれたのと重なります。
青天の霹靂もデビュー当時、
「無名の新人。試験場出身の品種中心の掛け合わせで、まっしぐらが系統に入っているのが目立つくらい」
とまで言われていました。
これもまた
「師匠は元横綱だけど、稀勢の里は野球からの転向組だから」
と言われていたのと重なります。
試験場出身の品種というのは、”奥羽341号”とか”青系157号”というような命名もされていないお米たちです。
多くのブランド米が、コシヒカリやあきたこまちなどの名門系統が入っています。
しかし青天の霹靂には入っていません。
そのため業界ではその実力を懐疑的な目で見ていたフシがあります。
しかし蓋を開けたらデビュー以来5年連続『特A』
この快挙には、まっしぐらの底力が無関係ではないでしょう。
そして無名の試験場米の数々。
歴史に残る出来事や人物の周りには、後世に名は残らなくても多くの立役者がいるものです。
まっしぐらとその孫 青天の霹靂には、多くの試験場米とその能力を見極めた開発者、種を管理し続ける採取農家さん、そして可能性を最大限に引き出した栽培農家さんなど多くの立役者がいます。
誰一人として欠けては成り立たない快挙。
偶然や運だけでは横綱にはなれないように、漫然と作っていただけでは、異常気象続きの昨今、特A米は育ちません。
・・・まっしぐら、ホント良かったな。
今日も美味しかったよ、ありがとう(@_@。
次はつがるロマン、君の番だよ。
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