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痩せたいのに痩せない理由


瓶に入ったおやつに集まる犬たち
カロリー神話の終焉

「カロリー制限しているのに、なかなか痩せない」

というご相談はしばしばあります。確かに体重を落とすには、食餌と運動は必須です。


しかし食餌に関しては、近年カロリーで管理することはあまり意味がないと考えられています。

もちろん目安にはなりますが、体の代謝能力や食材の栄養的特徴、時間遺伝子の発見などにより


・何を食べたか?

・いつ食べたか?


ということの方が体重の増減や健康に関与することが判明してきたことによります。


コームで毛をとかすシーズー

例えば握り寿司1人前より某大手ファーストフード店のフライドポテトLサイズの方がカロリーは低いです。


フライドポテトからは、熱に強いビタミンCが摂れる利点はあります。

しかし握り寿司1人前よりカロリーが低いから、そちらを摂り続けた方が痩せるでしょうか?


また脂質は1グラムあたり9㎉と計算しますが、フライドポテトの脂質は揚げる時に使用した植物油です。しかもヘキサンなどの溶剤で化学的に抽出し、繰り返し高温調理しても劣化しにくいものが使用されるのが普通です。


同じ植物油でもオメガ3系の亜麻仁油やエゴマ油など、熱に弱いけれど数々の健康効果を持つ脂質とは違います。



一方で握り寿司に含まれる脂質は、ほぼ魚に含まれるものです。(一部卵焼きなど、別の形のものがありますが)

同じ1グラム=9㎉でも、質が全く違うのです。


二階建てのキャットハウスでくつろぐ猫たち

小麦は体に悪い?

例えば握り寿司にお味噌汁や果物などのデザートを付けると、カロリーは増えますがビタミン類を補充できます。


また酢、醤油という伝統的な発酵調味料に、味噌も加わるのも利点です。

(ただし酢や醤油、味噌もきちんとした原料を伝統的な方法で発酵させたものに限る)



過不足ないビタミンやミネラル、適正量のタンパク質、炭水化物、脂質を一食で摂ろうとすると難易度は高いでしょう。しかし1週間単位でバランスが取れるようにすればハードルは下がると思います。



そしてグルテンフリーや糖質制限で、悪者にされがちな小麦ですが、醤油には昔から小麦が使われている上、奈良時代から食している麩に至っては小麦のグルテンから作られています。つまり決して食経験が浅いわけではないのです。

脚に痛みを感じている人形

どんな食餌がいい?

犬猫の世界でもグルテンフリー(グルテンを含まないもの)やグレインフリー(穀物不使用)といったフードもあり、一定の人気があります。しかし最近は玄米やそばなどの繊維が良い・・とまた新たなカテゴリーの食餌が出てきて「どれがいいですか?」というご質問も増えてきました。


アレルギーや持病がある場合は状況によって答えは変わりますが、基本的に

「ローテーションされたらいかがですか?」

とご提案しています。

特に犬は雑食性が強いので、穀物を一切摂らない・・というような極端な制限は、向いているとは思えません。



また穀物全般に含まれるフェルラ酸は抗酸化作用の他、様々な機能性が報告されています。特に注目されているのは、総コレステロールやLDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪を有意に減少させ、HDL(善玉)コレステロールは増加する機能です。

これによって心疾患の減少する可能性が報告されています。


グレインフリーフードで心疾患の増加が報告されたことがありますが、これはそういう理由を鑑みると科学的にもあり得る話です。

胸に痛みを感じている人


なぜ食べ過ぎる?

総合栄養食を摂っているワンちゃんネコちゃんでも、特に食餌量が足りないわけじゃないのに

「いつも物足りなそうにしている」

「おやつをせがむ」

「あるだけ食べてしまう」

というお悩みは多いです。


おやつをせがむのは、美味しいし楽しみの一つですから、あげすぎなければ問題ありません。



ただ「あるだけ食べてしまう」とか「常に食べ物を欲しがる」という状況で痩せられないというのは、フード選びを考え直すタイミングでしょう。



保護猫、保護犬でお外時代の習慣から、そういった状況にある個体もいます。


そういう場合は別ですが、毎日ご飯をもらえる環境で過ごしていて、獣医さんから痩せるよう言われているようなケースでは、

その子にとって足りないビタミン・ミネラル類がある

・一部のアミノ酸が不足している可能性

があります。



パッケージに書いてある”タンパク質量”はお肉の量ではありません。

窒素を測定して、それにタンパク質換算係数をかけて算出しています。


そのため犬猫が要求しているアミノ酸が過不足なく含まれているか?というと、必ずしもそうとは限らないのです。

エサ皿を前にした子猫と仔犬

合う? or 合わない?

様々な健康効果が報告されている食事法でも、人によって合う合わないはあります。


それは犬猫でも同様で、科学的に正解か否か・・というより”合うか合わないか”という部分も大きいです。




ビタミンやミネラルも、個体によって要求量は変わるし、タンパク質や脂質の代謝能力も違います。


筋肉が増えれば見た目は大きく変わらなくても、体重は思ったように減りません。

でも体質に合った食餌を続けると、適正な体重に落ち着いてきます。

太っていた子は痩せ、痩せていた子は体がしっかりしてきます。



確かにカロリーや体重という数字は、分かりやすいです。

しかし体調や気分というのは数字で表せないため、変化の課程が見えにくく、途中で不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。


まとめ

犬猫にとって食餌の時間や飼い主さんと一緒にいることは、大きな喜びです。

飼い主さんには、タイミングが来ればちょっとした表情や行動の変化が伝わると思います。



良い食餌とは高級なフードやおやつを与えることではなく、その子に合った食餌を見つけてあげること。特に食材の質や与え方に注目することをお勧めします。

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