top of page

犬種別かかりやすい病気~M.シュナウザー編


賢い!明るく活発なミニチュアシュナウザー

小型犬のなかでは長寿の犬種です。


そして瞬時の自己判断が求められる使役を担ってきたため、ポインターやレトリバーといった他の賢い犬種とは違った賢さをもっています。


主に家畜を守るためにネズミなどの小動物を追い払う仕事をしていたため、追い詰める体力や追い払う吠え声も持ち味です。


仕事柄、人の指示に忠実に従うというより、自分の判断を大切にします。

そのため人間から見ると、やや頑固にみえることもあるかもしれません。



『かかりやすい病気』があるのは、シュナウザーに限ったことではありませんが、必ずかかるわけではないので、必要以上に神経質になることもありません。


あくまでも”体質的な傾向”というように捉えて頂けるとありがたく思います。


どんな犬種であっても食餌と運動は重要で、日頃の体作りがしっかりしていれば、仮に病気やケガに見舞われた時でも軽く済む・・・または回復が早い傾向にあります。



高脂血症

シュナウザーはリポタンパク質の代謝過程が遺伝的に欠損していることが多いです。


※リポタンパク質

①肝臓で合成した脂質を必要場所へ運ぶ時

②小腸で吸収した脂質を運ぶ時

に乗り物代わりになってくれる複合粒子体です。


脂質は血液に溶けにくいため、リポタンパク質という乗り物を使うことで効率よく体内を移動できるのです。



この乗り物は中心がコレステロールやトリグリセライドの塊で、それを親水性のあるリン脂質やアポタンパクで包んでいます。



そのような粒子の代謝が上手くいかないために、血中にコレステロールや中性脂肪という形であふれてしまうのです。



近年、食事から摂取するコレステロールはわずかで、肝臓で合成するコレステロールに比べるとはるかに少ないというのが分かってきたので、単純に食餌の脂質量の調整だけでは改善が難しいと考えられるようになりました。



ましてやリポタンパク質の代謝が上手くいかないことで起こる脂質異常は、単純に摂取脂質量を減らしただけでは解決しません。


獣医師の判断で治療が必要なレベルだとなれば、豚の膵臓から抽出した酵素製剤(パンクレアチン等)が処方されると思いますが、食餌管理でできることは、『オメガ3系』の脂質を摂ること。



具体的に言えば、青魚(魚油)や亜麻仁油、くるみなどです。

オメガ3系は熱に弱いので、低温加工されたものをフレッシュな状態で摂ることが大切です。



以前、「亜麻仁油入りのドライフードでもいいですか?」と聞かれたこともありますが、一般に肉を使ったドライフードは衛生管理上、低温加工できないのでお勧めできません。

またくるみは消化が良くないので、絞ったオイルで摂ることをお勧めします。



高脂血症は無症状であることも多いですが、年と共に白内障や膵炎、そして胆石症といった形で出ることもあります。


どちらにしろ、肥満はさらにリスクが高まるので他の犬種以上に避けたいです。

胆石症・膵炎

症状がなくても、エコー検査したら胆泥が見られた・・ということは起こります。


胆道を塞ぐような石にならない限り、”要観察”になることが多いと思いますが、これも先ほどの高脂血症が絡んでいるケースが多いです。


膵炎も、一般的には

・肥満

・高脂肪食の摂りすぎ

・細菌感染

・糖尿病

・内分泌系疾患(甲状腺機能低下症・副腎皮質機能亢進症など)


などが主な原因となります。



膵炎は急性と慢性がありますが、急性はとても強い腹痛を伴い、早めの受診が重要です。


完治するのは難しく、上手く付き合っていくしかない病気ですが、見える症状がほとんどない高脂血症からくる膵炎はなかなか曲者です。


しかし高脂血症の段階で上手くコントロールできている場合は、膵炎になったケースをあまり見たことがありませんので、心配しすぎないで日頃の食餌と運動を積み重ねていくと良い結果につながるでしょう。



シュナウザー面皰症候群

皮膚にプツプツとニキビのようなものができやすい傾向があります。


毛穴に脂が詰まり、炎症を起こす皮膚の病気ですが、シャンプーのやりすぎや脱脂力の強いシャンプーで症状がひどくなった例をたまに見ます。


これも皮膚が脂っぽい体質・・というより脂質代謝の悪さの方が主因と考えます。そのため食餌の脂質は良質のものを選び、脂質の代謝を助ける食材を合わせていくのがお勧めです。


「グレインフリーが良い」

とか、

「チキンベースのフードが良い」

というような説もありますが、経験的にあまり有効性を感じません。


ぶっちゃけた表現をしてしまえば

「関係ないんじゃないの?」

(;´∀`)



穀物の摂取と脂質代謝の関連を証明する根拠も弱く、鶏肉も部位によって脂質量は違い必ずしも低脂質とは限りません。

また一般的なフードは総合栄養食基準を満たすために、油脂を加えており、鶏肉が有意に脂質代謝を高める科学的根拠もありません



それならむしろカルニチンが多いラムの方が良いでしょう。

ネットで簡単に拾える情報は、なんらかの商品を勧めたい場合も多く、注意深く読む必要があります。

(ってこのブログもフード屋のじゃないか!とつっこみどころですが(;^ω^))


まとめ

人間のお膝に乗ってのんびりするタイプではなく、かなり活動できる犬種なので、頭と体の運動量を確保してあげるのが健康維持のポイントでしょう。


”運動量の確保”というと、長い散歩や走ることを想像しがちですが、頭の活動=鼻を使う遊びも同じくらい大切です。



それらが満たされないと、とにかく賢いので人間の想像を超えるイタズラをやらかすかもです。

(;^ω^)


bottom of page