犬だってストレスがたまるんです
- 青い森工房
- 2021年4月25日
- 読了時間: 4分

わんこだけでない!なんとなくすっきりしない体調
この半年、”病気”というわけでもないけど、
・なんとなく体調に波がある。
・食べムラがある。
・お腹の調子が時々悪くなる。
などのお悩みをお聞きすることが増えました。
それが今回は、わんちゃんだけではなく、飼い主さんにも同じような症状が・・・。
これは明らかに、長く続くストレスによる影響と思われます。

飼い主さんが心配な犬たち
飼い主さんの生活パターンの変化・・・例えば、リモートワークが続いたかと思うと出勤日が増えたり・・。
一年に数回、自然豊かなところへ遊びに行っていたのに、中止になったり・・。
この経験のない感染症対策の日々は、人間だけでなく、意外とペット達にも影響が出始めているように思います。
それは直接的なストレスだけでなく、中には飼い主さんのストレスを感じて(心配して)お腹の調子を崩しているのではないかと考えられるケースもありました。
漢方だと、お子さんの体調不良には、親御さんにも漢方薬を飲んでもらい一緒に治療するのが珍しくありません。それは親御さんの体調や精神状態が、子供へ影響すると考えられているからです。
ペットも現代では子供同様ですから、こういったストレスや生活環境に起因すると思われる体調不良には、飼い主さんのお話から解決策が見えてくることが多いのです。

ワーグナーの犬と不遇時代
お薬が必要な症状は、お医者さんにお任せするとして、今回は音楽をお勧めしたいと思います。
音楽界で愛犬家というとワーグナーが有名ですが、彼の人生をたどる本を読んでいたら、辛すぎて途中でやめてしまったことがあります。
命からがら、ロシアからパリへと向かうも、貧乏生活は続きついに犬が家出してしまったことも。
命の危険を冒して船で移動したのも、馬車に彼が連れていた大型犬を乗せてもらえなかったからでした。
パリでドニゼッティの楽譜をピアノ譜にするバイトとか、不本意な仕事をしていたものの、夫婦二人がまともに食べられない日々。
そんな生活で、50キロ以上ある大型犬を養うのは大変で、犬は肉屋やチーズ屋などをうろつき空腹を癒していたそうです。
そんなある日、貴族がその犬を飼ってくれることになり、犬は迷うことなく行ってしまったと・・・。
飼い主として、読んでいてこれは本当に辛い。。。。
その後のワーグナーの成功は、世界中の人が知っていますが、あんな大作曲家でもこんな不遇な時代があったのですね。

結婚行進曲、歌の翼に、でおなじみのメンデルスゾーン
一方、同じドイツ系の作曲家で、ワーグナーと同じくらい有名な『結婚行進曲』の作曲者メンデルスゾーンは、裕福な銀行家の息子として生まれ、早くから音楽の才能を開花させていました。
この両者の『結婚行進曲』は、それぞれの性格を表しているようでおもしろいです。
ワーグナーの結婚行進曲はお式の開始時、花嫁の入場に使われることが多いですが、メンデルスゾーンの方は、お式が終わって花婿と教会から出て行く時に使われることが多いです。
メンデルスゾーンの方が華やかで、高揚感がありますが、彼はユダヤ教からキリスト教に改宗し、民族的・宗教的に悩みを持ちながら生きた人でした。
生活には困っていなくても、当時のドイツでユダヤ人か否かというのは、非常に大きなことでした。
ドイツの詩人ハイネの詩に、メンデルスゾーンが曲をつけた『歌の翼に』は、音楽の教科書にも採用されているので、ご存じの方が多いと思います。
ハイネもまたユダヤ人だったので、メンデルスゾーンと理解し合える仲だったと思います。
あのメロディ、歌詞が多くの人を引き付ける理由に、そんな背景があったと知ると、少し感じ方が変わるかもしれません。
まあ、それを抜きにしてもどこか日本の童謡のような馴染みやすく美しいメロディ。
滝廉太郎の曲に、メンデルスゾーンに影響を受けたと思われるものがいくつかあるとされているように、ワーグナーより親しみを感じる旋律が多いように思います。

ピアノ、ギターなどの単楽器がおすすめ
ストレスフルな時は、オーケストラより単楽器が良いと思います。
特に犬猫が一緒に過ごす空間には、オペラなど人の声が入っているものや打楽器が入るものは、かえってストレスになります。
あとは飼い主さんの好みで良いと思います。
モーツァルトやハイドンでなきゃダメということもありません。
ただドラマティックな曲より、穏やかな、あるいはワクワクするような曲で飼い主さんの気持ちが明るくなるのが良いと思います。
そういう観点からも、ワーグナーよりメンデルスゾーンは総体的にお勧めできる作曲家の一人だと思います。
(ワーグナー先生ごめんなさい)

晩年、ワーグナーのそばにいた白い小型犬は、ワーグナーのメロディを生み出した立役者として言われています。
なぜなら、ワーグナーが主旋律をピアノで弾き、その犬がどんな反応するかで作曲を進めていたという逸話が残っています。
ワーグナー先生が、今この世界状況を見たら、ストレスフルな犬たち用に、ピアノ曲集でも書いてくれたかもしれない・・・と今日もそんな犬バカ妄想に浸っています。