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歴史は語る~感染症と漢方薬から分かること



世界史の真っ只中にいる私たち

ヨーロッパでかつて蔓延したペストについて書かれた書物が、注目を浴びていますが、今私たちも50年後、100年後の教科書に掲載されるであろう状況の中にあります。



日本の歴史を見ても、戦役と感染症(日本ではコレラや赤痢が多かったでしょう)は、当時の社会、文化、そして政治さえ作ってきたように見えます。



疫病から守ってくれるアマビエ様が、現代において全国的に広まっているなど、一年前の私たちは想像できたでしょうか。



もし一年前、アマビエ様の話を聞いたら

「昔は抗生物質も抗ウィルス薬もなかったからね。こういうものに頼るしかなかったんだから、大変だったよね」

くらいにしか思わなかったかもしれません。




スペイン風邪の教訓

感染症の歴史を学ぶ上で、スペイン風邪は避けて通れません。


”スペイン風邪”というスペインにとって不名誉なネーミングが成されていますが、実はスペインで発生した感染症ではありません。



正体は当時の『新型インフルエンザ』だったのですが、先に流行したヨーロッパ各国は戦争中で、感染の拡大を秘匿していたのです。


しかしスペインだけは戦争に参加しておらず、未知の感染症の状況が世界に発信されることとなってしまいました。




当然日本の医療者にもその情報は届いていましたが、当時の資料に

「布製のマスクでは感染を防げない」

と新しい感染症に恐れを抱いている様子が伺えます。



この時の感染拡大の原因は

「マスクや手洗いが不十分であったこと」

「アスピリンを使用したこと」

「アメリカの生物兵器だった?!」

という説まで出ていますが、どちらにしろ『現代の医療をもってすれば対処できる感染症』というのが大方の意見でした。



ところが今どうでしょう?



遺伝子解析ができるようになり、画期的な新薬が毎年出ている世の中になっても、たった一つのウィルスに振り回されています。



歴史から学べることは多くありますが、日本史だろうが世界史だろうが共通して学べるのは『人は歴史から学べていない』=『同じことを繰り返す』

となんとも皮肉な教訓のように思います。



新参者の思い上がり

今を生きる私たちにとって、今は『最先端』ですが、生物の歴史の中ではつい最近出てきた新参者です。




細菌やウィルスなどの微生物、そして地上における植物に比べると、昨日生まれた新生児のように経験がありません。



当ブログでは、動物たちの感染症・・・馬インフルエンザの再流行や馬インフルエンザから変異した犬インフルエンザ(⇒馬と犬インフルエンザ)。


鳥インフルエンザから変異した猫インフルエンザが、人間にも感染したケース(⇒猫インフルエンザの大流行)。


トマトで世界的に流行しているウィルス(⇒トマトの病気


最近日本でも大人の感染が問題になりつつある麻疹と同じ仲間のジステンバーの話(⇒ジステンバーは麻疹の仲間


感染する犬のガンの遺伝子を調べたら絶滅した犬に辿り着いた話(⇒直接感染するガン細胞)・・・など動物、植物問わず多くの感染症に注目してきました。




「何かがおかしい」と自然界全体の異変に危機感を持ってきましたが、なかなか学問の枠を超えて議論するのが難しい仕組みになっていることが残念です。



ただ同時に、いま起こっている問題を打破するには、この辺の壁が突破できれば光明が見えてくるような予感もします。


また漢方を学んでいると例えば

「これってエボラ出血熱の病態じゃないか?」

というような症状が出てきます。



それに対する漢方処方が残っているということは、当時もそれに似た病態の患者がいて、実際対処したのでしょう。



漢方薬は、なんとなく『長期に渡って穏やかに効く』と思われていますが、当時は今ほど慢性病が多かったとは思えません。


急性の症状に対応することの方が、はるかに多かったはずです。

だから意外と『短期決戦』に使える薬は多いのです。



ただ現代のようなエキス剤がなかったので、

「・・この処方で煎じたものを温かいまま一升飲むこと」

なんて出てきます。


一升?!

現代なら10合。約1.8Lですが、当時の一升は200ml程度のようです。



・・にしても結構ハードな味わいが多い漢方薬。

この点は現代に生まれて良かったと思います。(^_^;)



私たちは何を学ぶのか

新型コロナ感染症をきっかけに、生活や人生観すら一変した方は少なくないでしょう。

しかし先人たちもまた、同じような苦労を経験しているのです。



どんなに科学が発展しても、お天気や地震をコントロールすることができないように、限界を認めるのもまた理性ある判断だと思います。

その中で

「どう生きるか」

「どう共存するか」



『自分にとって都合が悪い存在(考え)は排除する』

という考えは、競争の激しい社会において当たり前になっていたと思います。



しかしそれは人と人との関係だけでなく、例えば農薬と虫の関係のように、あるいは抗生物質と耐性菌のように、生き物全てとの関係性を崩壊させることにつながります。



今は立ち止まり、他者への想像力を働かせる時です。




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