東洋医学から見る49~冬に向かう食餌
- 青い森工房
- 2024年11月10日
- 読了時間: 4分

冬の過ごし方
今年(2024年)は11月7日に立冬を迎え、青森は平地でも雪がちらつきました。
冬は万物がエネルギーを貯める季節と考えられています。
1年は春に芽吹き、夏に大きく成長し、秋に実りを迎える・・というサイクルで回っていますが、冬はそれらの活動を支えるエネルギーを貯める重要な時期です。
しかし日々暮らす中では寒いし、日は短くなるので外での活動も減るし「なんとなく気分も塞ぐ」・・という方もいます。
でもそれらは全て翌年に向けた準備の時間だと知ると、過ごし方も変わってくると思います。

冬は"腎”の時間
腎は膀胱と協力しながら、新たな芽吹きに備えたエネルギーを貯めます。
腎は”生まれ持った元気”を貯蔵している所で、成長や生殖など生きる上で欠かせない生命の根本を支えているところです。
そのため年を追うごとにエネルギーの貯蓄が減っていきます。
減った分は食べ物や水分で補うことで、生命が維持されます。
それもただ食べれば良いのではなく、胃・脾がきちんと活動することでエネルギーとして初めて取り込めるのです。そうして取り込んだ”元気”も腎に貯えられていきます。
冬に無理をしたり、体を冷やすことは腎に負担をかけるだけでなく、翌年以降の体調に影響を与えます。
・春先の不安的な天気や狂犬病ワクチンに対応できる体づくり
・年々長引く傾向にある猛暑を乗り越える体づくり
・加齢による衰えを可能な限り遅らせる体づくり
などの基礎は冬の間に作られます。
もちろん季節ごとに食餌や生活でケアしていくことも大切ですが、土台作りがなされていないと期待したような効果が見込めません。仮にその場では上手くいったように見えても、根本が整っていないと継続していかないのです。

生物の体は約70%が水分
犬猫も体の60%~70%が水(H2O)です。
腎が司る”水”とはいわゆるH2Oだけを指すのではありませんが、体内で”水”を
・どう使うか
・どう循環させるか
というのは健康で過ごす上で非常に重要です。
栄養を運ぶにも、老廃物を排出するにも”水”の役目は大きいです。
そして余分な”水”を排出することで体を温めたり、熱を取るために”水”を取り込んだりと、腎の仕事は生命維持に直結します。
人間でも適切な水分摂取は大切ですが、ミネラルウォーターを持ち歩いて1日に2リットルも飲むのは飲みすぎです。食事からも1リットル程度は摂取してるので、過剰な水分摂取は腎の負担を増やします。

腎をサポートする食材
適切な水分摂取は、必ず腎のサポートと一緒にすすめなくてはいけません。
体を冷やさない食材をとることも大切ですが、温性や熱性のものばかり摂れば良いというものでもありません。
例えば腎をサポートする食材は黒いものが良いとされ、黒豆や昆布、黒ゴマがおススメです。
黒ゴマは擦って簡単にトッピングできるので、取り入れやすいでしょう。
しかし海外産の黒ゴマは気になる・・という方は、落花生で代用するのもいいでしょう。
粒の状態は消化が良くないので、無糖のピーナッツバターであれば、手作り食にもトッピングにも取り入れやすいです。
ピーナッツバターは太りにくい性質の脂質で、血管をしなやかにするパルミチン酸やリノール酸、αリノレン酸などを含みます。
お肉や野菜を炒める時に使用すると、そういった良質の脂質と共に豆に含まれるたんぱく質も摂取できます。

また乾燥しがちな季節なので、適切な水分摂取を維持するために、おやつにピーナッツミルクはいかがでしょう。
温めた豆乳やヤギミルクにピーナッツバターを溶かすだけです。
普段ドライフードをお使いの方なら、これをフードにかけても良いでしょう。
(その分、少しドライフードの量を減らして下さい)
その他腎をサポートする穀物なら米。魚介類ならエビ・ホタテ。畜産物なら牛肉・ラム肉が向いています。
そして腎の気を養うものとして山芋がおススメです。

相互作用で腎を強化する
腎は筋骨を司っていると考えられているので、腎の衰えは足腰の弱りとして表れます。
両者の関係は相互通行なので、足腰を鍛えることは腎を強化することにもつながります。
また腎は”髄”も司ると言われてますが、これは骨髄の他、脳を含みます。
頭を使うことも腎をサポートすることになるのです。
裏を返せば、腎を強化することは認知症予防にもなるわけです。
つまり”腎”がスムーズに活動できる土台を作り、腎を意識した食餌・生活を続けることは、健康で長生きする体に繋がるのです。