肝と目のつながり
春の臓器・肝は立春から5月に最も活動が活発になります。
日差しも強くなり花粉は飛び、目のかゆみや不調を聞くことが増えます。
人間の場合、スマホやパソコンの使い過ぎで目の負担が増すこともありますが、ワンちゃんの場合比較的この時期に”涙焼けがひどくなる”というご相談を受けることが多いです。
ネコちゃんでも”目ヤニが多い”と。
涙焼けは、人間と同じように花粉や食べ物、添加物のアレルギーで涙が増えることでも起きますが、
・鼻涙管が狭かったり、閉じてしまっている
・逆さまつげ
・被毛が目に入って刺激されている
と様々な原因で起こります。
逆さまつげや鼻涙管に原因がある場合は獣医さんに治療してもらわなくてはなりませんが、春先に目の症状が気になる時は”肝”の力も弱っているかもしれません。
つまり肝とそれに関係する場所は、相互に関係するので、
肝臓の疲れ⇒目の疲れ
として出ることがあるし
目の不調⇒肝臓の不調
を引き起こすことがあるということです。
肝にさわる⁈
ちょっとした言葉や態度が神経に障りイライラすることを『癇に障る』と言いますが、東洋医学的には『肝にさわる』と表現したいところです。
肝は血や気を全身に回す器官と考えられており、肝の不調が起こると気も血も滞ります。
その結果、血の滞りが起こると
『肝に障る』⇒怒りっぽくなる、イライラする
同じ滞りでも気の滞りが起こると
『気が塞ぐ』⇒憂鬱になる
また感情面だけではなく気の巡りが悪いと、
・喉が締め付けられる感じ
・喉がつまった感じ
といった喉の違和感として出る場合もあります。
肝の活動時間は午前1時~3時と言われているので、この時間帯にしっかり睡眠を取ることが大切です。
寝る頃になって嫌なことを思い出したり、不安で頭がいっぱいになることは起こりがちですが、そんな時は肝臓がかなり弱っていると思って下さい。
肝臓が活動する時間に深い睡眠を取ることが、それら感情の乱れを整える助けにもなります。
犬猫も同様で、留守番中のイタズラがひどくなったり、怒りっぽくなっている時は肝臓が弱っている可能性があります。
必ずしも”弱る=悪い”というわけではないので、血液検査で異常はなくても、肝臓をケアする必要があります。
肝と相互関係にある目・筋肉・腱・爪
そして肝臓は筋肉・腱・爪を支配し、目を通して外界と繋がっていると考えられているので
肝の不調は冒頭に書いた”目の不調”の他
・肩や背中のコリ
・夜中に脚がつる
・爪がもろくなる
・髪(被毛)がパサつく
といった症状としても出ます。
筋肉の活動は”血”によって支えられているため、血の滞りで筋肉のコリや張りは起きるし、血(栄養・酸素)が体の隅々まで届かないと健康な爪や髪(被毛)が保てません。
爪が欠けたり被毛のツヤがなくなったりすると、まず栄養不足を疑いがちですが、経験的には肝臓の疲弊から起こってることがとても多いです。
栄養は足りていても、必要な所に届いていないのです。
爪や被毛に塗るケア剤が欠かせないようなら、まず肝を整えて欲しいのですが”適度な運動”は肝をケアする良い方法です。
日々の散歩はまさにぴったりで、人も犬も是非楽しんで欲しいです。
しかし激しい運動は筋肉の疲労を深くさせ、肝臓も弱らせるので逆効果になります。
あくでも”疲れすぎない運動”です。
肝とセットの胆のう
春の臓器・肝臓とセットになっている春の腑は胆のうです。
胆のうは胆汁を作り、胃・脾の消化を支えています。
そのため立夏前の春土用に入り胃・脾の活動が活発になった時、肝と胆の不調が
・口をぺちゃぺちゃさせる
・ムカムカして草を食べたがる
・黄色い液体を吐く
・アレルギー
といった症状として表れることもあります。
黄色い液体は胆汁の色です。
(胃液は透明)
胆汁は脂肪を乳化させタンパク質を分解する強力な消化液なので、吐くときに食道や喉に強い刺激があります。
そのため人の場合、吐かなくても
・口の中が苦い感じがする
といった自覚症状を感じることがあります。
これと同じようなことが犬猫にも起こっていると考えられ、上記に示した症状として表れます。
飼い主さんの健康も大事!
春先は気候が不安定なことも多く、新年度で生活パターンも変化しやすい時期です。
新たな環境で緊張する機会が増えることもあるでしょう。
飼い主さんのそういった変化は、犬猫にも影響します。
この季節に関わらず、
・緊張しやすい
・イライラしやすい
・落ち込みやすい
・目が疲れやすい
など肝の不調から出る症状を感じやすい方は、日常的に肝をサポートしてあげると良いでしょう。
犬猫の場合も
・いたずらが多い
・怒りっぽい
・目の不調
・黄色い液体を吐く
・食欲不振
などの症状が見られるものの、病気の可能性は否定されたら”肝の乱れ”を整えてあげることをお勧めします。