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東洋医学から見る35~よだれと唾の違い


春は色々いそがしい

いわゆる『木の芽時』というのは、体調不良になりやすい時期と言われています。東洋医学では陰と陽のバランスを取ることが体調を保つ上で大切だと考えます。



春は陰⇒陽へ切り替わる時期で、同じ季節の変わり目でも

春(陽)⇒夏(陽)

または

秋(陰)⇒冬(陰)

に比べると、変動が大きいのです。


そしてもう一つ、陰陽が切り替わる時期でも

夏(陽)⇒秋(陰)

より重要視する理由は、春は解毒の臓器・肝の季節でもあるからです。



東洋医学では”排泄”を重要視する

東洋医学は、体と外部の自然環境の相互関係を重視します。


つまり同じものを食べても、季節(外部環境)によって、体への影響が違うということです。


よって五穀(米・麦・粟・黍・豆)に畜水産物、野菜、果物をバランスよく摂ることだけでなく、季節によってどんな種類のものを摂るかも大切です。



よく健康番組で『○○は体にいい』と放映すると、その食材や食品が売り切れる・・というのを聞きますが、それを一年中、一生食べ続けるのが正解とは限りません。

季節や体調によって休んだ方がよい食材もあれば、調理方法や味付けを変えることで季節や体調に対応できるものもあります。



そういった意味で、”偏食”というのは東洋医学でも問題視します。

どんなに優れた機能を持った食材でも万能ではなく、使い方を考慮しなくてはならない場面があるのです。



そしてさらに重要なのが”排泄”です。


毎日、食べて活動することで、体内では老廃物が作られます。それを的確に排泄していくことで体調を保ち、穏やかに加齢が進むと考えます。


つまり多少、入ってくる方(食事・過労・精神的なストレス等)のバランスが崩れても、不必要なものが排泄(解消)されれば健康が保てます。


だからどちらも大事ですが、どちらかというと

入ってくる方<出ていく方

と考えます。

よだれは脾と胃の反応

このようによく犬猫でも体調が悪い時(特に胃腸障害)、絶食させてしまうと回復が早いと言われるのは、東洋医学的にも整合性があります。

(※猫の絶食は獣医師の指導の下行って下さい。犬も激しい下痢や嘔吐、ぐったりしている等の場合は必ず獣医師の診断を仰いで下さい)



少なくとも食餌として入ってくるものがない分、排泄の方に集中しやすくなり、体内のバランスを戻しやすくなると考えます。


そして本日のテーマ『よだれ』と『唾』


どっちも医学的には『唾液』ですが、東洋医学では分けています。



何か明確な基準・・例えば”色”とか””分泌される場所”に差があれば分かりやすいですが、どっちも”唾液”であることに違いはありません。


しかし不思議なことに日本語には、両者を区別する表現があります。


・よだれが垂れる

・唾を飲む


唾が垂れる・・とは言わないし、よだれを飲む・・とも言いません。

また

・唾を吐く

とは言いますがよだれを吐く・・とは言いません。


いかがでしょう?この微妙な差。



よく犬でも猫でも、吐く前によだれを垂らすことがあります。


唾液が口の中に充満し、意識的に吐き出さなくても出てきちゃう感じ。

吐く理由は車酔いでも、感染症でも、消化器系の疾患であっても同じような感じになります。



『よだれ』は脾の弱りだと考えられており、慢性であれ急性であれ『よだれ』は脾・胃の反応とみます。

一方『唾』は?

『唾』の方は腎と関係していると考えられています。



体に影響を与える心の動きを『五志』と呼びますが、腎は『恐・驚』

つまりあまりの恐怖を体験するとか、強い驚き(ショック)によって腎を痛めると考えられているのです。


これはその逆もあって、腎が弱っていると怖がりになったり、ショックを感じやすくなる・・とも言えます。



恐怖におののいている時、あるいは大きな驚きを受けた時の口の中の状況ってどうでしょう?


思わず唾を飲んだり、逆に口がカラカラになったりしません?


腎は、全身に水分を回している所です。

そこに急な負担がかかると、水分を補給したくなったり(唾を飲む)、水分を奪われたりするわけです。


ここでも飲むのも奪われるのも唾(唾液)であって、よだれじゃないですよね。



春の臓器・肝との関係

長々と脾・胃(土用)、そして腎(冬)の説明をしたのは、その両者が春の肝を順調に活動させるために不可欠だからです。


肝は木とも例えられますが、全身の”気”を循環させる場所でもあります。


木が育つには土(脾・胃)が整っていなくてはならず、その成長・活動に水は必須です。



『春だから肝』だけでなく、それを取り巻く臓器の活動を『唾』や『よだれ』から観察し、全身を総体的に見ることが大切です。




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