一緒に暮らしていくうちに、なんとなくその子の体質的な特徴を感じることはありませんか?
「病気という訳ではないけど、お腹がゆるくなりやすい」
「季節によって目ヤニが多くなる」
「被毛が乾燥しやすい」
といった比較的分かりやすい特徴もあれば
「あまり活動的ではなく、昼寝が大好き」
「散歩の後、長い昼寝をする」
というようなもの。また
「ちょっとしたことで機嫌が悪くなる」
「キレキャラ」
「留守番が長い日は粗相したり、吐くこともある」
といった一見するとしつけや性格に起因すると思われる体質的特徴もあります。
もちろんしつけや性格的なものが影響していることもありますが、東洋医学では5つの体質に分けてみることがあります。
木の体質
肝臓と胆嚢が関わる『木』の体質を持つ個体は、ストレスがたまりやすい傾向にあります。
そのせいか情緒不安定にみえたり、ちょっとしたことでイライラすることも。
例えば食餌中に、人がお皿のそばを通ったり、食べているところを見ているだけで
「ご飯をとるのか?」
とでも言うようにうなったり怒ることがあるタイプです。
しつけの問題と見る向きもありますが、食餌を変え、運動習慣でストレスを発散し、気の流れが良くなってくると次第にそのような行動も減ってくるのであまり関係ないでしょう。人が見てようが、近くを通ろうが、ただ黙々と食べるようになります。
また肝臓や胆嚢が悪いとか病気というのではありません。
ただ肝臓・胆嚢が司る、”気”の流れが滞りやすい体質なだけです。
気の滞りが起こるとストレスを感じやすく、お腹が張っておならをしたり、吐くことも。
眠りも浅く、いつも気を張っているような印象があります。
また緑がかった目ヤニが出てたり、耳あかも湿っぽく臭い。
目はかゆみも出やすく、しょっちゅう掻くので、ただれたり細菌感染を引き起こすこともあります。
かゆがっていると、まずアレルギーを疑ってしまいますが、中には気の滞りから引き起こされているケースも少なくありません。
人間の食事より先に、犬にご飯をあげてはいけない?
ちなみに、ご飯にまつわるしつけで、
「人間がリーダーだと認識させるため、食餌の途中でお皿を取り上げて、怒らないようトレーニングしましょう」
というのを見ますが、非常に疑問に思います。
自分のお子さんを聞き分けの良い子に育てるため、食事の途中でお皿を取り上げる親御さんがいますか?
それくらいバカげた理論で、ただの意地悪です。(場合によっては虐待)
「犬と人は違う。擬人化するな」と言われるかもしれませんが、犬の知性は人の2~3歳相当とよく言われます。
(もっとあると思うけど)
それで言えば、人間の幼児に通用しないしつけは、犬にも通用しないということです。
よく「いたずらや粗相をしたらその場で叱らないと、後で叱っても何を怒られているのか分からない」と言われますが、その理論で言っても、食餌の途中でお皿を取り上げられても「何をしたいのか分からない!」はずです。
例え怒らなかったとしても、それはボスと認めたのではなく、せいぜい
「何やってるのかな?」
ぐらいにしか考えてないでしょう。
これは決して擬人化ではなく、犬の行動学的にも不必要で意味のないやり方だと考えます。
人間による特殊な飼育下で観察された、血縁関係のないオオカミの集団行動研究が、未だに犬のしつけに用いられていますが、時代遅れです。
オオカミも犬も群れの単位は家族で、明確なアルファ(リーダー)というのは確認できません。
通常のテリトリーが保てない非常に狭いエリアに、多くの家族が連れて来られた結果、どうやって平和を保つか・・・といった究極の選択を迫られたオオカミたちが生み出したのが”アルファ”という存在だったというのが近年の解釈です。
「少なくとも餌は定期的にもらえるらしい」
という、これも野生下ではあり得ない環境に、オオカミなりにルールを作って運用したわけです。
野生のオオカミにとって、切り身になった肉や人工飼料などは未知の餌。
そこで勇気のあるリーダが食べ「大丈夫。食べられるみたい」と確認すると周りも安心して食べる・・・というのが真相です。
そのためこれを犬のしつけに転用し
「人間の食事の前に犬にご飯をあげてはいけません。先に食べさせると自分がリーダーだと勘違いします」
という説も眉唾ものです。
犬ってそんなにアホではありません。
(ちょっと脱線してしまいました(;^ω^))
土の体質
胃や膵臓・脾臓が関わる土の体質は疲れやすく、朝寝坊も大好きなタイプ。
動悸や息切れを伴う場合もあり、そのせいで動くのが億劫であることも多いです。
また胃腸も弱く、食も細いです。
我が家の茶々丸はまさにこのタイプで、仔犬の頃から朝、食欲がなく「ボク、ブランチでいいです」という感じ。
お昼すぎ元気になりますが、わりと受け身で活動的なタイプではありません。
未だに食は細い方で、ちょっと食べ過ぎると吐いてしまいます。
年齢と共にそれを自覚しているようで「ちょっと多いかな」という量の食餌だと、その『ちょっと』の部分を残したりします。
朝日と共に起きて「散歩だ、散歩~!メシはどうした?」なんて騒ぐことは絶対ないタイプですね(;^ω^)
そのため「朝が苦手、休みの日は寝坊したい」・・という方には相性が良いかもしれません。
ただ心配性なところがあり、『木』の体質とは違う意味で留守番が苦手です。
『木』の体質は
「なんで俺を置いてくのだ~!」
という怒りが原因で、家具を壊したりしますが、『土』は
「出かけるのに僕が付き添ってあげなくて大丈夫かな。ボクしかいない時に、この家に何かあったらどうしよう」
という感じで、あるゆることが心配になって粗相をするタイプ。
茶々丸の場合は、後から先天的な心疾患が見つかりましたが、疾患といえるものがなくても、全般にあまり活動的ではありません。
そのため『おとなしい』とか『飼いやすい性格』と言われるタイプでもありますが、病気になった時分かりにくいという弱点もあります。
火の体質
このタイプを一言で言うと『落ち着きがない』
心臓と小腸が関わる”火”ですが、嬉しくておもらししてしまうのもこのタイプに多く、”火”というより花火のような興奮を感じます。
喜びの爆発だけでなく、留守番中ヒステリックに吠えることもあり、エネルギーにあふれています。
言い方を変えると、色々と敏感にキャッチしやすいタイプなので、例えば飼い主さんが悩んでいる姿に、自分も胸を痛めてしまうこともあります。
食餌の好みがはっきりしているのも特徴で、耳から焦げ臭い匂いがすることもあります。
「わがまま」などと言われてしまうことが多いのもこのタイプですが、自分自身というより周りのことに影響されやすい優しい性格の子が多いように思います。
暑がりで、体のほてりを感じることも多いですが、疲れると電池が切れたように爆睡してしまいます。
金の体質
肺と大腸が関わる”金”の体質は、鼻や目をぐずぐずさせているタイプと、真逆の口や鼻、目が乾燥するタイプがいます。
くしゃみをよくすることもあり、シニア期になると喘息のような症状がみられることも。
肌や被毛は乾燥気味で、便秘にもなりやすいタイプです。
経験的には犬でみることは少なく、猫の方が多いように思います。
これは長く走り続けられる犬と、短距離が得意な猫との差もあるかもしれません。
犬の方が散歩など、日々肺を鍛えられる環境にあり、この体質を持っていても表に出づらいのかも。
また『物憂げ』という様子は、この体質の特徴ですが、犬より猫にその表現を使うことが多いですね。
犬でもシニア期になると、この体質が目立ってくることもあるので、今特徴的な症状がない場合、この体質であることも考えられます。
水の体質
腎臓と膀胱が関わる”水”の体質は、冬に腎臓や尿路にトラブルが出やすいタイプです。
喉が渇くのか、水をよく飲む割に尿量が増えない時も。
その辺は季節によって出方が変わるので、判断が難しいところですが、分かりやすいのが大きな音や初めての物(事)などを怖がる傾向にあることです。
初めての物や事は、慣れることで多少解決しますが、例えばお化けや暗い所が『怖い』と感じるものは一生『怖い』のと同じで、慣らしたりしつけで解決するのは難しい傾向があります。
心霊特集やホラー映画を見続ければ慣れて怖いと感じなくなるのか・・といえばそうではないのと同じです。
そのため怖がるのをやめさせるのは難しいですが、腎をサポートする食餌や環境にして、怖がることが起こってもケガや事故を起こさない環境を整えてあげることはできます。
恐怖のあまり家を飛び出してしまったり、パニックになってケガをしてしまうことだけは防いであげなくては。
掃除機や花火などが苦手な場合は、クレートに入れたり別の部屋に移動させたりある程度準備を整えられますが、雷や暴風雨など自然環境は避けようがありませんので、レメディを活用したり、「ここにいれば少し安心できる」という場所や物(飼い主さんの匂いがついたタオルなど)を作ってあげるのもいいかもしれません。
まとめ
この今回ご紹介した体質は、あくまでも特徴的なものなので、全てが当てはまるわけではないし、一部に当てはまったからと言って、それに関わる臓器が悪い・・というわけではありません。
人間でも、例えば疲労がたまっている時、
・頭痛がする
・喉に違和感を感じる
・眠りが浅くなる
など様々なタイプがあるのと同じです。
そのような症状が出たからと言って、別に頭の病気であったり、喉が悪いというわけではないでしょう。
あくまでも体調維持の目安や食餌のヒントにして頂けたら幸いです。