暦の上では『秋』だと言われても、ちっとも実感がありません。
長引く暑さは、年齢・犬種・猫種を問わず負担が大きいですね。
犬猫も年齢を重ねると、”渇き”に対してやや鈍くなるのは同じで、昼寝をしているうちに脱水症になり、慌てた飼い主さんから「どうしたらいいの~?!」とお電話を頂戴したことがあります。(もちろんエアコンをつけた部屋にいたのですが)
あと高齢犬に多いのは、うんちがコロコロに固くなって排出しずらそうにしている時も、水分不足のサインの一つだと言えます。(もちろん固い便の原因は、他にもありますが)
「1時間に1回はお水一口飲んで下さいね!」
「ワン!」
という訳に行かないのが悩ましい所ですが、飲まないからって放置する訳にはいきません。
食餌やおやつで、水分を補給させる工夫が必要です。
なぜ渇きに鈍くなるのか
そもそも渇きに鈍くなる・・というのは東洋医学的に腎臓が弱っていると見ることができます。
ご存じのように、腎臓は全身の水分コントロールで重要な働きをしています。
加齢に伴い、腎の働きが弱ってくる⇒水分代謝が落ちてくる⇒水分が必要なところに上手く回らない
ということが起こりやすくなります。
腎臓では血液に乗って運ばれてきた老廃物を濾して、尿と共に排出していますので、腎機能の衰えは全身状態に与える影響は少なくありません。
同時に代謝が落ちる⇒水分の処理能力が落ちるとも言えますので、いわゆる”がぶ飲み”が出来なくなるんですね。
”がぶ飲み”というのは、ダムの処理能力を超えた大量の雨水が入り込んでくるようなイメージです。
雨量をコントロールすることはできないので、キャパシティを超えると決壊してしまいますが、生き物は決壊させないよう飲む量を自然とコントロールします。
歳をとると油の消化能力が落ちて、あまり食べたいと思わなくなるのと似ているかもしれません。
ただ脂質も細胞膜の形成・維持において重要なので、シニア期は量より質を重視して適度にとり続けるのが大切です。
一方、水は日々の細胞活動において非常に大切ですが、シニアになると上記のように『腎の衰え』からくる水分摂取不足で、
・全身の老廃物排出が滞る
・必要な場所への巡りが滞る
・血液の不足からくる不調
といった問題が起こりやすくなるわけです。
こんな時にお勧め
裏を返せば『腎の働きを助ける』ことができれば、ある程度”飲める”ようになりますが、若い時のように戻るわけではないので、やはり毎日の食餌からどれだけ無理なく水分摂取できるか・・というのは健康に過ごす上で大切です。
なにしろ体の70%が水で出来ているのは犬猫も同じですから。
そこで
・暑さ疲れが出ている。
・暑さで食欲が落ちている。
・暑くて散歩や運動も控えめになり、水分も食餌も少なくなっている。
という時の食材として栗をお勧めします。
栗の薬膳的働き
甘くて犬が好む味なので、甘味に属すると思いきや腎機能を補う『鹹味』の要素を持っています。
完全に鹹味とするグループと甘味と鹹味両方を持つと考えるグループもありますが、私の経験では鹹味の要素を比較的はっきり感じます。
腎機能が高まっていくと、足腰もしっかりしてきますし、なにより気力が出てくるんですね。
腎が管理する水分(血液)が、全身にしっかり巡ると筋肉や骨にも必要な栄養が届き、老廃物も排出されますから当然です。
しっかり自分の足で歩けると、さらに血流が起こり良い循環が生まれます。
また胃弱や下痢の時にも助けてくれるので、秋土用に入ってからもお勧めしたい食材です。
茹でて皮を剥いて、食餌のトッピングにするのも良いですが、おやつに与えるのがお勧めです。
ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富ですが、低脂肪なのもシニア向き。
栗も一応”ナッツ”の一種ですが、多くのナッツと違い脂質が低いので、多少食べ過ぎても安心です。
縄文遺跡からも多く出土していますから、米より先に主食として食べていたと思われます。・・ということは、当然一緒に暮らしていた犬たちも、栗は古くから食べてきた食材の一つでしょう。
関連ブログ⇒秋~土用に起こりやすいこと
関連ブログ2⇒縄文の時代から