犬も猫も獣医療の発展により長寿化しています。
すると人間社会と同じように、ガン、認知症などに直面することが増えてきました。
猫の死因も、ついにガンが慢性腎不全を上回ったというデータもありますが、見方を変えれば慢性腎不全に対する治療や管理が向上してきたと見ることもできます。
データの見方というのは、この辺が微妙なところで必ずしも
『ガンが死因一位になった』=『ガンが増えている』
ということにはなりません。
また
『ガンが増えた』=『環境汚染や食べ物が原因』
というのも短絡的です。
もちろん現代は、様々な化学物質にあふれていますが、『発がん性物質』を
①どのくらい
②どんな期間
③どんな状況で
摂取したら発病するか、正確に測定されているとは言えません。
ガンの原因は非常に複雑
外国で、脳腫瘍と肩甲骨の骨折痕がある恐竜の化石が出土したことがあります。
これは何を意味するかというと、脳腫瘍による神経圧迫で運動失調を起こし転倒。転倒による衝撃で肩甲骨を骨折したと分析されています。
体長10メートルを超える巨体が転んだ衝撃は大変です。肩甲骨を骨折したら、片方の前足は使えないでしょうから、餌も取れず命を落としたのでしょう。
地表に届く放射線量は、現代と違うとはいえ、食品添加物や工場排気などの大気汚染がなかったのは間違いありません。
つまりガンが発病するまでの原因は非常に複雑で、100種類以上あるガンそれぞれの発病メカニズムも、解明されている方が少数派なのです。
こんなことを言うと「発がん物質を許容するのか!」とすぐに炎上する世の中ですが(^_^;)、「あれは危ない。これも危ない」と煽るだけでは科学的な見方とは言えません。
数々の化学物質が、ガンの原因を作る可能性は否定しませんが、それが全てではないということをお伝えしたいと思います。
長期間免疫システムがバランスを崩した結果=ガン
添加物や残留農薬など食べ物の質の変化は、確かに少なくない影響を与えます。
しかし生物の免疫システムは、そう単純な作りではありません。
排除したい化学物質や古い血球を処理し、心臓と協力してきれいな血液を供給する肝臓。
ウィルスや細菌などから体を守り、体内で起こった炎症に対する防御機能を果たすリンパ。
東洋医学ではこの『血』と『リンパ』という重要な免疫システムのバランスが、長期間崩れた時、ガン(悪性腫瘍)は形成されると考えます。
特に肝臓が司る『気』=エネルギーをせき止められると、生命力をそがれる結果となると。
注目すべき重要ポイントは、疲労と慢性消化不良。
多くの場合、免疫バランスの崩れの兆候は疲労感や慢性的な消化不良など『よくある症状』です。特にペットの場合、”疲労感”を見極めるのはなかなか難しいでしょう。
まさにガン発症が増えるシニア期なら、加齢によるものと区別しづらいです。
また慢性的な消化不良も、原因はいくつもありますが、肝臓を中心にバランスを見直す必要があります。
たとえ子犬の頃からお腹が弱いタイプだったとしても
「よくあること。整腸剤を飲ませれば良い」
と安易に考えず、肝臓ケアが必要です。
脂質の多い食事が増えたのは、なにも人間世界だけではなく、犬猫の食餌でも同じです。
消化不良=胃腸が弱い
というより、肝機能が追い付いていないというケースはよく見ます。
元々胃腸の弱さがあったとしても、膵臓に問題がなく、肝機能が正常であれば、本来そんなにしょっちゅう消化不良を起こしません。
まずは食餌の脂質量を減らしてみることをお薦めします。
現代ならではの原因
10年ほど前にイギリスで、精神的な病気と診断された犬猫が60万頭以上にも上るというデータがありました。
・だるそうにする
・慢性的な消化不良
・食欲不振
・食欲亢進
・イライラ
・不安感
人間でも精神的なストレスでよく起こる症状ですね。
これはどれも肝臓のバランスが崩れた時に起こる反応です。
肝臓は”沈黙の臓器”と言われますが、実は感情面に”肝臓の声”を表していることがよくあるのです。
食欲不振や消化不良は心配しますが、食欲亢進はあまり気づかれない傾向にあります。
ガツガツ食べてくれるのは嬉しいですから・・・。
しかしたいした運動もしていないのに、いつもより食べる(欲しがる)時は注意が必要です。
不安やイライラ、欲求不満など精神的な問題を抱えているかもしれません。
それは犬猫自身の問題ではなく、飼い主さんが抱えているストレスを癒そう、取り去ろうとしている時にも起こります。
東洋医学では、一つの臓器、一つの病気ではなく、体全体で何が起こっているか考えます。そして体とは身心両方を含みます。
さらに犬や猫と一緒に暮らしている方は、彼らの健康も含まれます。
まさに”ワンヘルス”です。