高病原性鳥インフルエンザが人間に感染
今期、人間の世界ではなぜか影を潜めているインフルエンザ。
しかし鳥の世界では世界的に猛威を振るっています。
今期は日本でも980万羽を超える、過去にない数のニワトリが殺処分されており、養鶏王国の千葉県では、県内の1/3の鶏が処分されるという大変な状況になっています。
日本で流行している型は病原性が高く、感染すると致死的な経過をたどるH5N8型。
この型はこれまで鳥が感染するA型インフルエンザの一つとされ、ヒトには感染しないとされていました。
しかし最近、ロシア南部の養鶏場で、従業員7名がこの型に感染したことが判明しました。
これまで中国などでは、疑われる例が数件あったものの、正式に感染が認められたのは世界初のケースとなりました。
幸い、感染した従業員の方は全員回復し、
鶏⇒ヒト
の感染は確定したものの
鶏⇒ヒト⇒ヒト
は認められていないとのこと。
ただ人間に感染しやすい型に変異したのは間違いなく、ヒトへの感染を繰り返しているうちに、ヒトからヒトへ感染する可能性も大いにあります。
また中国では2020年7月に人へ感染しやすくなった豚インフルエンザH1N1の変異型(G4ウィルス)も確認されています。
調査した養豚場の従業員を検査したところ、約10%の人がこのウィルスの抗体を持っていることが確認され、これも
豚⇒ヒト
の感染は間違いないと思われます。
ただこちらも
豚⇒ヒト⇒ヒト
までの確認はとれていません。
ただ鳥に比べると、豚は人に近く、高病原性の鳥インフルエンザより警戒が必要だと思います。
稀にみる低温と積雪が感染症の蔓延を防止
青森県は養鶏も養豚も盛んです。
ブロイラー飼育数全国4位。
採卵鶏11位。
養豚数8位
と比較的上位にいますが、他県と違うのは、農家一軒当たりの飼育数が多いのです。
そのため、数年前から感染が広がっている豚熱や今回の鳥インフルエンザの感染が発生すると、大事になるので各農家さんも細心の注意を払っていらっしゃいますが、今季は近年まれにみる低温と積雪が、防御壁となったと思われます。
なぜなら12月の早い時期から積雪があり、雪を嫌う野生のイノシシがあまり入ってこなかったこと。
そして低温が続いたことで、川や池・湖などが凍結してしまい、餌が獲りにくくなった白鳥やカモ類が南下してしまったようなのです。
ものすごく積雪の少なかった昨季に比べ、確認された渡り鳥が半分だったとの報告がありました。
人間にとっては厳しい自然条件が、家畜・家禽類の感染症蔓延防止効果を発揮したようです。
犬猫にも関係するインフルエンザ
こうして感染症が蔓延するか否かというのは、自然条件にも左右されます。
ちょっとした気候変動で、予想外の広がりもあり得るのです。
2016年にニューヨークで流行した猫インフルエンザは鳥インフルエンザH7N2型由来でした。
また最も新しい犬インフルエンザは豚インフルエンザH1N1型由来です。
鳥と豚のインフルエンザは、人間だけでなく、犬や猫にも影響を与えるため常に注視しています。
どちらもいまの所、重篤な経過を辿る例はありませんが、コロナウィルス以上に変異スピードが速いインフルエンザは、どんな変化をみせるか分かりません。
どちらにしろ、特効薬的な抗ウィルス剤はありませんので、対処療法が中心となりますが、一番良いのは罹らないこと。
普段から運動や食餌に気を配り、体の抵抗力を高めておくことが大切です。
避けられない病気やけがはどうしてもありますが、仮に罹ったとしても軽く済んだり、乗り越えることが可能です。
縄文時代だけでみても、かなりの気候変動があったことが伺え、気候が一定であることの方が稀だったのでしょう。むしろ地球環境は変動するのが自然だと考えます。
変動する中で、住む場所や食べるものが変化し、その生活環境に適応してきました。
私たちはそんなにヤワじゃないぞ!
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