皮膚病でおなじみの、マラセチアとカンジタ
この二つの微生物は、真菌と呼ばれる酵母・カビの一種で、”菌”と付いていますが納豆菌とか乳酸菌が属する細菌ではありません。キノコと同じグループです。
どちらも皮膚だけでなく、体の様々なエリアに常在しています。
そのため他の常在菌と一定のバランスがとれていれば、悪さをすることもなく、むしろ皮膚や粘膜などを守ってくれるありがたい存在です。
『カビ』と聞くと
「きゃ~!汚い、病気になる。キレイにしなきゃ」
と思いがちですが、洗いすぎや消毒のしすぎで、常在菌バランスが崩れても、異常繁殖して皮膚やその他部位に炎症を起こすことがあります。
フルフル?フリフリ?かわいいネーミングに騙されるな!
ピロリ菌などもそうですが、ネーミングの可愛さについ油断したくなるマラセチア フルフル。
これが皮膚に問題を起こすマラセチアの菌種名ですが、フルフルとはラテン語のfurfuribus=フケからきているらしいです。
またその名もfurfur(フルフル)という悪魔もいるらしい。
悪魔フルフルの体は鹿で、コウモリのような大きな翼と炎のしっぽを持つ姿をしているそうです。
かゆみというのは、痛み同様非常につらいので、昔の人は悪魔の仕業と考えたのかもしれません。
皮膚常在菌のバランスが崩れる理由は様々ですが、物理的な刺激だけでなく疲れやストレスなどでも崩れます。
理由はともあれマラセチア フルフルが繁殖すると、皮膚は油っぽくなり、フケや赤み、臭い、かゆみ等が出ます。
消化管カンジタで酔う?!その仕組み
カンジタはマラセチア同様、皮膚、鼻、耳などにも存在しますが、消化管にも存在します。
よくドラマや映画で、ストレスや過度な疲労で、めまいを起こして倒れる・・・という場面がありますが、「消化管カンジタの異常繁殖だったりして」・・・なんて思います。
なぜならストレスや過労で胃液のphが少し上がると、消化管に常在する微生物の情勢が変わります。
ご存じのように胃液は強酸性ですから、その影響で普段は少数に抑えられている微生物群でも、わずかに酸性度が下がっただけで、勢力を拡大できるグループがいるのです。
その一つがカンジタなのですが、カンジタは酵母(イースト)の一種なので、胃中の糖を利用して発酵を始めてしまうのです。
ストレスが溜まっていたり過労の時は、自然と消化の良いものが食べたくなるでしょう。
甘いものが欲しくなることがあっても、脂っぽいものやガッツリお肉(タンパク質)などはあまり食べたくないと思います。
こういった食生活がカンジタによる発酵をさらに推し進め、分解された糖はアルコールになります。
つまり胃の中で、お酒を醸造しているような状態になるのです。
(胃の中の温度は、これまたお酒の発酵にちょうど良い温度帯だし)
その結果、なんと酔うのです!
ちっとも楽しくないアルコール
『酔う』と言っても、残念ながら本物のお酒を飲んで酔った時とは違い、リラックスしたり気分が良くなることはありません。
(間違っても「タダで酔える!」なんて試してはいけません)
症状としては、めまいや気分の悪さです。
これ、れっきとした病名がついていて”消化管カンジタによる酩酊症”
過労で食事が十分でなかったり、不規則になることによる立ちくらみなども起きますが、その中には、この酩酊症もあるかもしれません。
どちらにしろ、まず休むことが一番です。
(休んでも改善しないめまいは、他の病気が隠れている場合があるので、お医者さんに相談しましょう)
カンジタにしろマラセチアにしろ、普段は常在菌としての仕事もしているので、『ゼロ』にすることはできません。
というよりするべきではありません。
『ゼロ』にしたら、他の常在菌のバランスが崩れ、別の問題が起きます。
「問題を起こすから」
「都合の悪い存在だから」
と言った理由で徹底除去を試みると、悪循環に陥るだけです。
カンジタやマラセチアが悪いのではなく、バランスを崩す原因を除去すべきなのです。
これは微生物が引き起こす他の多くの問題にも共通します。