犬猫にも増えるアレルギー
人間の世界も、花粉症、アトピー性皮膚炎、ぜんそくなどアレルギー疾患が増えていますが、犬猫の世界も同じ傾向にあります。
特に季節の変わり目に、症状が出やすい、または悪化しやすい傾向も似ています。
その原因は、環境の変化や食品添加物など様々な可能性が上がっていますが、可能性の一つに寄生虫の減少があります。
回虫にアレルギー防止効果?!
フィラリアも寄生虫の一つですが、アレルギー発症と逆相関性を指摘されているのが回虫の保有率です。
もちろんヒト回虫も、イヌ回虫も高度に寄生されると腸閉塞などで命を落とすこともあります。
しかし例えば、ヒト回虫の保有率は、60年前の農村部では60%にも及んでいました。
都市部でも30~40%だったそうですが、最近の調査ではなんと0.02%!
さすがにこの数字は、先進国の中でもトップレベルです。
ただこの保有率が下がるにつれ、増えてきたのがアレルギー疾患。
犬猫でも、寄生虫駆除は飼育の第一歩ですが、お腹に寄生虫がいるとアレルギーの原因となる抗体を抑制することが分かってます。
これはヒト回虫が宿主である人間のアレルギー防止効果があることを突き止めた、東京医科歯科大学 名誉教授 藤田絋一郎先生の研究によるものですが、犬猫にも同様のことが起こっている可能性があります。
一つ克服すると、一つ増える問題
衛生環境の向上は、健康に大きく寄与してきたのは間違いありません。
しかし『きれいすぎ』『排除しすぎ』が及ぼす悪影響もあります。
かと言ってどの辺が「ほどほど」なのか一律の基準を設けるのも難しいでしょう。
例えば今回の新型感染症の影響で、子供のワクチン接種率が下がっています。
全てのワクチンが必要だと思っていませんが、医師が接種できると判断した健康なお子さんが、必要な時期に、必要なワクチンを接種していくのは公衆衛生上不可欠です。
「流行していないからしなくても良い」
というものではありません。
はしかやジフテリア、結核など、抑制方法が分かっているものを実行しないと流行します。
また流行してから接種しても、間に合わない場合もあります。
これは犬猫も同じで、ワクチンは接種率が8割以上にならないと集団免疫が出来ず、いつ病気が蔓延してもおかしくない状況と言えます。
(しかしアレルギーなどの問題で、接種したくても接種できないお子さんや犬猫がいるのも確かで、そういった方々を一方的に批判したり排除するのも問題)
期待される新型コロナウィルスのワクチンは、効果はもちろんそういった安全性も確認しなくてはならず、かなり時間がかかると思われます。
(ちなみに2003年3月にWHOがグローバルアラートを出したコロナウィルスが原因となる感染症SARSのワクチンは、未だに出来ていません)
ちなみに寄生虫も他の生物同様、交配によって増えていくので、1匹だけなら増えず、悪さもせず、寿命の3~4年ほどを小腸でおとなしく過ごし、健康に悪影響を及ぼすことはまずありません。
・・・とは言っても藤田先生のように、回虫やサナダムシをお腹に飼って?!アレルギーをコントロールする勇気はありませんが(;^ω^)、
アレルギーというと、原因物質として食べ物やワクチンばかりが注目されていますが、新たに増えた物質だけでなく、『なくなったもの』にも注目です。
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