もう一つの宇宙~下を向いて歩こう!足元に広がる微生物の世界
- 青い森工房
- 2020年10月28日
- 読了時間: 4分
更新日:2021年2月21日

足元に広がるもう一つの世界
今年はつい下を向いて歩いてしまうことが増えた方も多いかもしれません。
心理学の専門家によると、顔を上げて歩いているだけで元気が出るそうですが、私はどんな心理状態でも割と下を向いて歩いています(;^ω^)
仕事柄、道に落ちている犬・猫・鳥・その他の動物の糞が気になる・・・というのもあります。
(例:何を食べた?どんな体調?このウ〇チは誰のだ?!・・など)
そして地面の下に広がる、壮大な微生物の世界にワクワクしています。

天体観測の地中版?!
天体望遠鏡やTV番組などで、宇宙の不思議や美しい映像に魅了される方も少なくないと思います。
空に煌めく無数の星の多くは、まだ未解明の地です。
どんな風に生まれ、どんな環境で、果たして生物が存在しているのかetc.・・・
微生物の世界も同じなのですが、どういうわけかあまり市民権を得ていません。( ̄д ̄)
○○菌というと、「バッチイ!」という印象があるのでしょうか。ビフィズス菌とか乳酸菌はヨーグルトのイメージで、おおむね好印象だと思うのですが、その他はどうでしょう。
例えば土壌1グラムの中には、およそ100億個の微生物が存在しています。
1990年代に蛍光顕微鏡が出てくるまでは『1グラム中1億個くらい』というのが定説だったので、目に見える微生物が100倍になったわけです。

微生物の世界を犬の世界に例えると・・・
目に見えるようになれば、少なくともその存在を認識できるようになりますが、星と同様、見えていてもその性質まで分かるわけではありません。
そのため個々の性質を見るためにその菌を『分離』し、見やすい量まで『培養』して増やさなくてはなりません。
例えばたくさんの犬の中から、ダックスフントを見つけたとしましょう。
ても一頭だけでは”ダックスフント”という犬種全体の特徴や性質はわかりませんよね。
まあ、胴長・短足という非常に個性的な特徴は分かるにしても、
大きさ(スタンダード・ミニチュア・カーニヘン)
毛色(クリーム、レッド、ブラック、ブラック&タン、チョコレート&タンなど)、
毛の特徴(スムース・ロング・ワイヤー)など様々。
何頭も見るうちに性格的な差も分かるようになり、さらに研究を重ねていると、罹りやすい病気や人間と一緒に暮らす上で気を付けなければならないこと・・ダックスなら例えば階段の上り下りとか・・・などがだんだん分かってきて今に至っていると思います。
微生物も全く同じで、例えば納豆菌一つとっても色々な特徴があり、全てが食用に適しているわけではありません。
これも犬の世界と同じですね。
全ての犬種が、家庭のペットとして向いているわけではありませんが、警察犬や警備犬として素晴らしい活躍をしている犬種もいます。
どちらの方が犬として素晴らしいかなんて比べるのはどれほど馬鹿らしい事か、犬好きの方にはご理解頂けると思います。
土中微生物の世界も同じです。

最適な栄養状態とは?
人間に都合の良い働きをしてくれる菌を『善玉菌』などと言いますが、100億個の微生物同士に善玉も悪玉もありません。
それぞれが生きる上で直接関係を持たなくても、誰かにとって必要な存在であることが分かっているかのようにふるまいます。
例えば上手く分離できたものを培養しようとしても、無限に増殖する菌は今の所いません。
どんなに人間が栄養たっぷりの培地(微生物のお家のような過ごしやすい環境)を作ってあげても、ある一定の所でストップします。
同時に多くの土中微生物は、人間が
『栄養たっぷりの環境を作ればたくさん増えてくれるだろう』
という浅はかな考えを吹き飛ばし、想像以上の低栄養下で生きています。
そもそも人間が考える栄養基準であって、我々からしたらとんでもない物質を栄養源として利用しているかもしれません。
同時に人間基準での『低栄養』判断であり、微生物的には『最適』状態かもしれません。
そんな微生物たちの姿を見ていると、人間や犬猫の栄養基準は本当に正しいのだろうか・・といつも心で自問しています。

例えば血糖値を上げるホルモンはグルカゴン、コルチゾール、アルドステロンの他にもいくつもありますが、下げるホルモンはインシュリンしかありません。
これはどれだけ低血糖状態と闘ってきたかを物語っています。
数万年の進化の中で得た機能を、たかだか50~60年くらいの食生活の変化に適応できるはずがありません。
そのため微生物同様、あまりの高栄養食(高カロリー食)というのは、生物としての存続を危うくするのではないかと思うこともあります。
(空腹に耐えろ・・という意味ではありません)
「微生物と高等生物哺乳類を一緒にするな!」という声も聞こえてきそうですが、哺乳類も自分の遺伝子数より多い体内微生物の力で生命が維持されています。
私たちの足元にいる微生物は、私たちの健康維持の原点にいます。
関連ブログ⇒土の匂い
関連ブログ②⇒犬の膵炎
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