今年(2020年)は5月5日に立夏を迎えました。
暦上は夏になり、東洋医学的には『心臓』の季節となります。
同時に『春雷』という言葉があるように、雷が増えてきます。
この先も雷を伴う夕立などが増える季節となりますが、この”雷”や夏の風物詩”花火”の音が苦手なワンちゃんが結構います。
「びっくりした~。心臓が止まるかと思った」
あまりに驚くと、よくそんな表現をしますね。
”驚き”にしろ”恐怖”、”緊張”にしろ、びっくりした後、しばらく『ドキドキ』が止まらないこともあります。
つまり精神状態と心臓機能の関連は、昔から経験的に多くの人が知っていたわけですが、医学的には関連性をはっきりと認められていませんでした。
ところが1990年代半ば、日本の心臓専門医チームが『たこつぼ心筋症』なるものを発表しました。
そんな不思議な名前が付いた病気は、心臓の状態もこれまでの常識を覆す不思議な症状でした。
心電図は心臓発作を表しているのに、心臓の冠動脈は全く異常なし
強い胸の痛みを覚えて、救急搬送された人の心電図を取ったら、発作が起きていることを示す波形が見られたので、すぐに冠動脈の血管造影検査をしたら全く異常がない。
心筋梗塞や狭心症の兆候もなく、”健康”な心臓そのものだったのです。
しかし奇妙だったのは、心臓の下部に小さな風船状のふくらみが出来ていたのです。
この患者さんは、救急搬送される前にそれこそ『胸が押しつぶされそうな大きな精神的ショック』を受けていました。
つまり心臓そのものに問題はないのに、精神的、感情的な大きな変化で心臓に異変が起きたのです。
ここから世界中の医学界が、精神状態(驚き、恐怖、緊張、喜び、悲しみ等)と心臓機能の関係を研究していくようになります。
たこを食べる習慣のある国などそうないので、たこを捕獲する”たこつぼ”なるものを想像しづらかったのか、この奇妙な心筋症は『ブロークンハートシンドローム』という愛称で呼ばれるようになりました。
形といい、意味といい、”たこつぼ”とはなんと絶妙なネーミングだと思うのですが、世界標準にならなかったのはちょっと残念です。
動物の世界でも、これにそっくりの心筋症があります。
獣医学では『捕獲心筋症』と呼ばれていますが、これは研究のために捕獲した動物がショック死してしまうことからそう名付けられました。
たとえ個体識別番号の足輪を付けて、また放す予定であったとしても、当の動物にとってはそんなこと分かりません。
野生動物にしてみれば、まさに”死に物狂い”で逃げようとしているわけです。
「死ぬほどびっくりする!」状況です。
人間も様々な精神的理由で、たこつぼ心筋症を発症するように、動物も捕獲だけが発症理由になりません。
変わった症例としては、屋外で上演されていたオペラが原因で、動物園で珍獣オカピが捕獲心筋症で死亡した報告があります。
なんとこの動物園の隣の公園で、ワーグナーのタンホイザーを上演していたと言います。
高音域の合唱やソリストたちの声が聞こえ始めると、落ち着きをなくし、逃げまどっていたそうです。
一般に高い音は、悲鳴の音域と重なるので、不安感を覚えても不思議ではありません。
うさぎなどは、ロック音楽や激しい口論でこの心筋症を起こしたケースもあるので、ペットがいるご家庭では注意が必要です。
とはいえ、音楽や口論ならともかく、雷や地震などの自然現象は人間の手ではどうにもなりません。
欧米では抗不安剤などを使用することもあるそうですが、日本では一般的とはいえません。
そのためそういう時は、”レスキューレメディ”をお勧めしています。
犬などは音だけでなく、雷の電磁気を感じて怯えているのではないか・・という説もありますが、どちらにしろ心臓がバクバクするほど驚いたり、怯えているのは早急に和らげてあげる必要があります。
同時に普段から食餌や運動で、心機能を整えておくことも大切です。
まずはレメディを使いつつ、安心する環境を整えてあげることをお勧めしていますが、パニックになって飼い主さんに噛みついたり、失禁するような場合は、獣医師に相談することをお勧めします。
#雷 #花火 #大きな音 #青い森工房 #犬 #健康 #心筋症 #たこつぼ心筋症 #心臓 #捕獲心筋症 #レスキューレメディ #春夏秋冬