巡礼路にあるホタテ貝のモチーフ
イエス・キリストの使徒の一人、聖ヤコブ。
スペイン語では
聖=サン
ヤコブ=ティアゴ
スペイン北西部にあるこのサンティアゴを目指す巡礼者は、ホタテの貝殻を身に着けていることが多いです。
サンティアゴの象徴が、
「ホタテの貝殻だから」
と聞いたことがありますが、ホタテ大好き!なので前から気になっていました。
最近もTVで巡礼地を巡る番組を見ていたら、巡礼路のあちこちにホタテのマークが見られ、多くの方がリュックにホタテ貝殻を下げています。
昔は巡礼者が、お皿やスプーン代わりに使っていたそうですが、『貝焼き味噌を作るのにちょうどいいサイズ!』と思いながら視聴した人はまずいなかったとは思います(^_^;)
※貝焼き味噌=青森県の郷土料理。ホタテの貝殻にホタテ・長ネギ・卵・ダシ汁を入れ、最後に味噌を溶く。基本的にホタテの貝殻で調理したら”貝焼き味噌”なので、家庭での具は様々。ホタテなしの時もあり。(・・うちだけ?!)
なぜサンティアゴの象徴がホタテ貝になったのかは諸説あります。
1.聖ヤコブの遺骸を運んでいた船にホタテ貝が付いていたから。
2.漁師の息子だったから。
3.聖ヤコブが「この貝は、万病を治す力がある」と言ったから。
他にもあるそうですが、3のように貝と健康を関連付ける説があるのが興味深いです。
以前このブログでもご紹介したように、日本の古事記にも貝殻の粉で、奇跡の復活を遂げた神様の話が出てきます。(⇒古来から伝わる貝殻の不思議な力)
全く離れた地域で、似たような話が残っているのは不思議ですね。
スペインと言えばパエリヤ!
多くの貝にはタウリンが含まれており、それが滋養強壮になったのは間違いないでしょう。
薬膳でもホタテは、胃腸が疲れた時の食材の一つとして使われます。
なぜか犬猫の食餌では『消化が悪い食材』と紹介されることが多いですが、科学的根拠のない都市伝説としか思えません。
実際、海外のホリスティック獣医が勧める食材に、『ホタテの水煮』はよく出てきます。
胃腸を保護し、様々な臓器の機能を助けるホテタは、避けるべき食材どころか、積極的に摂るべき食材の一つでしょう。(特にシニア期)
ただ古事記にも出てくるように、漢方薬でも”薬効”という点では、身の方ではなく貝殻の方が利用されてきました。
牡蠣(ぼれい)とはその名の通りカキの貝殻ですが、漢方薬を構成する生薬の一つです。
主にげっぷや胃もたれ、慢性的な胃炎、生理痛、眼精疲労などにも使われます。
成分としては、ほぼ炭酸カルシウムですが他の生薬と合わさることで、効果を発揮します。
胃腸薬として有名な『安中散』(あんちゅうさん)や不安やストレスで眠れない時に使う『柴胡加竜骨牡蠣湯』(さいこかりゅうこつぼれいとう)に配合されています。
柴胡加竜骨牡蠣湯は、子供の夜泣きや更年期に起こる神経症状、便秘にもよく使われます。
「イライラや不安にはカルシウム!」とよく言われますが、昔から使われていたのですね。
年末の宴会シーズンが近くなるとCMが増える武田漢方胃腸薬A。
この”A”は安中散の”A”じゃないかと思うのですが、食べ過ぎて胃がムカムカする時、アルカリ性の貝殻の粉がバランスを取ってくれます。
・・・身も貝殻も、多くのパワーを持つ貝類。
聖ヤコブが『万病を治す力がある』と言ったとしたら、その効果を経験的に知っていたのでしょう。
もちろん化学分析などない時代。
それを見通す力があったのは、やはり普通の人ではなかったのかもしれません。
神話や伝説は想像の産物・・と思いきや、今になって読み返すと違う見方が出来るから不思議です。