連日、ラグビーワールドカップの熱戦が放送されています。
同時に観客のビール消費量が、他のスポーツ観戦と桁違いであることも話題になっています。
ビールと言えば、他のアルコール飲料にはない独特の苦みが特徴ですが、この苦みを出しているのがご存じのようにホップです。
古代ローマ人は、ホップの若芽を野菜と同じような感覚で食べていたとの記録もあるので、食用の歴史はかなり長いです。
いわゆる”ホップ”と呼ばれているのは雌花の穂の部分で、球果とも呼ばれます。
ホップは雌雄異株ですが、薬用やビールに使われるのは雄花だけです。
ビールより薬用に使われた方が先で、アメリカ先住民は鎮痛と不眠解消に使用していました。
ヨーロッパでも鎮痛・解熱・心臓の不調・下痢にも使われ、その薬効の認識はどの地域でもほぼ同じです。
不眠改善に使われていることからも分かるように、その鎮静効果からヒステリーの治療や不安感の改善にも用いられており、近年ドイツの保健当局も
『不安や睡眠障害による不調』にホップの使用を認めています。
睡眠サポートに”バレリアン”というハーブは日本でもサプリメントで販売されていますが、これとホップを合わせて使うことで、プラセボ(偽薬)群より症状の改善が見られたというデータもあります。
『睡眠を深くする』というより『気分を鎮めて入眠までの時間を短縮する』タイプです。
そのため向精神薬のように服用をやめたからといってリバウンドしたり、眠気が残って朝起きづらくなる・・というようなことは報告されていません。
ビールに使用されるようになったのはフレーバーとしてではなく、最初は防腐剤代わりだったとのこと。
しかしあの香りがリラックスさせてくれることだけでなく、苦みが消化を促進することも判明。
食事のお供の定番飲料になったのも、「とりあえずビール!!」となったのも偶然ではなかったのですね。
ちなみに”苦み”とは胃腸に影響を与えやすい味覚です。
漢方薬もその”苦み刺激”が、重要な薬効になっているものも多いです。
そのため漢方薬はオブラートなどに包まず、ダイレクトに飲むのが基本です。
(どうしても飲みづらい場合は、必ず医師や薬剤師に相談して下さいね)
ちなみにホップはビールだけでなく、ハーブティーとして就寝30分前までに飲むのもお薦めです。
ハチミツを入れると、より飲みやすくなります。
また乾燥ホップを綿や麻など小袋に入れ、枕のそばに置いておくと心地よい入眠の助けになるでしょう。
分離不安や興奮しやすい犬の寝床に吊り下げておくのも良いかもしれません。
また認知症状が出て、夜泣きをしたりウロウロ歩くような高齢犬にもお薦めです。
サプリメントとして粉末状にしたものも市販されているので、フードにかけても良いでしょう。
今後の可能性として、近年日本でも増えている過敏性腸症候群などにみられる、消化管の筋肉の緊張緩和に効果があるかもしれないと期待されています。
またホップに含まれる8-プレニルナリンゲニンという成分が、ホルモンの作用を活発にする可能性が注目されています。
どちらにしろまだ研究途中なので、適正な服用量や安全な服用期間など今後の結果が待ち遠しいです。
ラグビーはとても激しいスポーツですが、選手や観客のマナーの良さや紳士的な精神は有名です。
そこにはホップのパワーもあるのでは?と思いながら試合を観ています。