
う~ん、、、やっぱりというような事故が起きてしまいました。
信頼あるコミュニティで販売されていたササミ肉を使用した犬猫用のおやつ。
その商品からサルモネラや大腸菌が検出され、令和元年8月19日現在の報告では、健康被害68匹、死亡14匹。
サルモネラは夏場に出やすい食中毒ですが、このササミおやつは昨年11月に製造されたもので、最初の報告は今年の1月~2月だったとのこと。
感染ルートはまだ判明していないようですが、サルモネラは低温にも乾燥にも強い菌です。
だから冷凍したり、低温乾燥では安心できません。
逆に高温には弱いので、中までしっかり火を通せば問題ありません。
ただ近年の傾向として加工現場より、大量に効率よく鶏をさばく現場で菌が付着しやすい環境が気になっていました。
大腸菌数は発表されていませんが、下痢・嘔吐・血便という定番症状なので、強毒性の型ではなかったといえ、サルモネラの影響があったのは間違いないと思います。
ただ、下痢や嘔吐した全ての個体の原因が、このおやつだったと断定するのも難しいところです。
高齢や持病で免疫力が落ちていれば、常在菌として共存していたような菌に負けてしまうこともあります。
また下痢や嘔吐は季節的な原因やストレス等で起こることもあり、冬場ホットカーペットや暖房器具のそばに保管していたペットフードにカビが繁殖して中毒を起こしたケースも見たことがあります。

サルモネラは2菌種、6亜種、血清型は2500種以上ありますが、胃腸炎を起こすような菌種は亜種Ⅰのグループだけで、その他は非病原性と考えられています。(もちろんいつ、どう変異株を作るか分かりませんが)
そのため自然界のあらゆる所に存在しているのに、そうそう悪さをしません。
犬猫を含めて亀、トカゲなどペットとして飼われている動物も保菌していることは珍しくありませんが、牛・豚・鶏などの腸内にも常在菌として住み着いています。
よく鶏卵によるサルモネラ食中毒が発生するのは、糞に住み着いている菌が入り込んでしまうから。
新鮮かどうかは、実はあまり関係ないんですね。
たまにTVで鳥わさ(鶏のお刺身みたいなもの)なんかを出す店を取り上げて
『毎朝仕入れた新鮮なものしか使わないから安心』
と紹介されることもありますが、
『どうかな?』
と思う時があります。

一部の地鶏やかなりこだわっている工場は別として、一般に鶏は〆た後、業界用語で『ドブ漬け』という処理をします。
羽を取りやすくするために、ぬるま湯の中に〆たばかりの鶏をポンポン投げ入れていくんですね。
そのぬるま湯プールは、鶏の糞や汚れでドブ色な上、ぬるま湯だから匂いもひどい。
しかしそこに暫く漬けておけば、羽をむしりやすくなるから、手間と時間短縮になる。
手間&時間短縮
↓
経費削減
↓
効率の良い工場運営
↓
小売価格が下がる
一見良い流れのように見えます。
毎日の食卓を預かる主婦にとって、”安い”というのは魅力ですが、あの光景を見たら『多少価格が上がっても違う方法にして欲しい』
と思う方が少なくないと思いますが・・・。

”ヒューマングレード”と言われる食材の処理方法がこんな状況です。
様々な現場を知るほど
『ヒューマングレード』
とか
『ISO取得工場で加工してます』
という看板だけでは選べないと感じました。
余計な添加物を使わず、でも安全に加工するには自分たちの技術を上げることが必須です。
しかし同時に素材(野菜・肉)の育て方はもちろん、処理方法にまで確かめないと信用できない時代になってしまいました。
『食中毒を出さないため、徹底した衛生管理をしています』
と言われても、実際の手法を見ると肉を次亜塩素酸(いわゆる台所用漂白剤成分です)に漬けておくような方法では使いたくありません。
・・というより食べたくない!
自分が食べたくないと感じるようなものを、家族に食べさせたいという人はいるでしょうか?
食中毒が心配だからって、キッチン〇イターで、野菜や肉を漬けておくお母さんいるかな?
「なんでそこまでこだわるの?」
とか
「面倒な人たちだなあ」
と言われますが、そういう時は逆にお尋ねします。
「これ、毎日家族に食べさせています?」
不思議なことにその答えのほとんどは以下の2パターン。
①無言になる
②「うちは違法なことはしていない!」とキレる
法律の範囲内かどうかの問題ではないと考えています。
ちなみに今回のおやつの事故は、
『ペット用おやつなので食品衛生法は適用されない』とのこと。
ペットの食餌を含めて、食品の安全管理の方向性が、どこかおかしいと感じるのは私だけでしょうか?