年齢を重ねれば一つや二つ、体の『痛い所』や『不調を感じる所』が出てきます。
元気に過ごすことが出来ても、
「シワや肌のキメが目立つようになった」
とか
「なんとなく疲れの取れ方が若い時とは違う」
とか
「前ほど食べられなくなったなあ」
とか・・・。
”歳を取る”ことを”老化”とも言いますが、老化=炎症とも言えます。
”炎症”というと、腫れたり、赤くなったりするイメージですが、体の反応としては
炎症=酸化物質の産生です。
そういうことから、
『アンチエイジングにポリフェノール(抗酸化物質)が豊富な赤ワインがいい』
とか
『〇〇は抗酸化物質が豊富だから血管の健康にいい』
などと言われるんですね。
しかし食べ物だろうが、サプリメントだろうが、抗酸化物質をたくさん摂取しても、生物の体は複雑ですので、酸化物質産生を100%抑えるのは不可能です。
一時(今も?!)メガビタミンブームがあって、
『大量の抗酸化ビタミンを摂取すると老化が防げて動脈硬化に良い』
とか
『抗ガン効果がある』
などという説もありましたが、現在は多くの研究で否定されています。
それどころか、老化の進行や症状の悪化が報告されるほどです。
ビタミンに限らず、通常の食事ではありえない量の物質を摂るのは、体にとって不自然であまり良い結果が出ていません。
何かと悪者にされている酸化物質にも役目があり、炎症反応が全く起きないのも大問題になるのです。
関連ブログ⇒B・フラギリスの仕事
年齢を重ねるほど、免疫細胞の炎症は起こりやすい状態と言えます。
なぜなら代謝や物質合成に必要な酵素などは、歳をとるほど減るから。
炎症を抑えたり、細胞を新しくする能力やスピードが落ちるのです。
例えば
『美白を維持したい!』
と思ってビタミンCを摂取しても、ある程度の年齢になった体は
『美白より免疫細胞の維持がヤバイ』
『関節の維持がヤバイ』
と本人の意思なんか無視して(^_^;)、勝手に別の所で利用します。
細胞維持・増殖に関わる物質に”ポリアミン”がありますが、これもまさにその良い例で、若い頃ならアルギニン、グルタミンなど、いくつかのアミノ酸から合成できますが、歳を取るとやはり酵素不足で上手くいきません。
(だからと言って、酵素サプリを飲めば良いかというと体はそう単純ではなくて・・・)
関連ブログ:消化器全般の不調にはポリアミン
しかしポリアミンは分子量が小さいので、直接消化管から吸収できます。
つまりポリアミンが含まれる食事から、十分に補給できるのです。
ポリアミンが補給できれば細胞の機能を維持・増殖ができ、結果的に炎症は最小限に抑えられるということになります。
ポリアミンが取れる食材と言えば大豆ですが、それを発酵させることでさらにポリアミン量が増えます。
煮豆・豆腐・ゆばなどはもちろん、味噌・しょうゆ・納豆はさらに多く含みます。
また少し前まで『カロリーも栄養もない』と軽視されていた食物繊維。
近年急増している大腸がんの原因の一つとして、食事が欧米化し、高脂肪・低食物繊維が挙げられています。
玄米を主食とし、野菜や大豆、きのこ、海藻などを多く摂っていた昔の和食メニューは、食物繊維が豊富でした。(きのこ類もポリアミンが豊富です)
食物繊維が腸内環境に良い影響を与えることは、だいぶ広まっていますが、腸内細菌が合成するポリアミン量も増えることが判明しています。
食事の力とはこういうもので、例えばポリアミンという一つの成分だけを多く摂れば健康になれるというものではありません。
例えば和食メニューなら、玄米、魚介類、昆布でダシを取って野菜をたくさん入れた味噌汁、煮物など、食事全体で引き出されるものです。
人間と犬、猫では当然必要栄養バランスが違いますが、個体差も大きいです。
ただ個々の体質、運動量、環境などを考慮したバランスがとれた食事が、強い体を作るのは間違いありません。