20年くらい前までは、カロリー神話全盛だった栄養管理。
ただすでに1990年頃には、欧米では
「カロリーで管理するのって、あまり意味ないかも?」
という説がちらほら出ていたのは確かです。
そもそもよくパッケージの裏に書いてあるカロリーって、どうやって算出していると思いますか?
簡単です。
タンパク質と炭水化物は、1gあたり4㎉。
脂質は1gあたり9㎉をかけるだけです。
ちなみに犬猫の場合は、タンパク質・炭水化物は1g/3.5㎉。
脂質は1g/8.5㎉と計算します。
実際に物質を燃やして測る方法もありますが、食品やフード類は、ほぼこの『重さ×カロリー』の机上計算が採用されていると思います。
そしてその元となる、例えばタンパク質量は、どう算出しているかと言うと・・・
これは窒素量を計り、そこに一律6.25をかけて出します。(一部食品の特性によって若干補正する場合もあります)
牛肉に含まれている窒素も、化学肥料、鶏のフンの窒素も、窒素は窒素。
事件性でもない限り、通常食品分析でDNAまで調べることはしませんので、どんなものに由来する窒素なのかはまず分かりません。
しかしとにかくそうして算出されたタンパク質量に人間用なら4㎉、犬猫なら3.5㎉を掛けてカロリーを出しています。
計算方法に根拠がないわけではありませんが、意外とざっくりしたものなのです。
だからあくまでも”目安”にして下さいね。
また昨今、悪者にされている炭水化物。
炭水化物=糖質ではありません。
炭素=carbon
水=H2O
二時間ドラマに出てきそうな、謎のダイニングメッセージじゃありませんが、一番左の文字を縦に読んで下さい。(^_^;)
つまり炭素と水素と酸素で構成されたものが、炭水化物です。
炭と水が化けた物!
健康に良いと言われる食物繊維も、炭素(C)と水素(H)と酸素(O)で構成されているので、これも炭水化物に含まれています。
もちろん砂糖やでんぷんなども、C、H、Oが連なっているので、これも炭水化物の一種ではありますが、全てではないんですね。
だから『炭水化物5g』と言っても『糖質5g』とは限らないのです。
例えばライ麦パンとスポンジケーキは、100gあたりの炭水化物量はほぼ一緒です。
しかしライ麦パンはスポンジケーキに比べ、食物繊維は7倍もあります。
この二つはタンパク質量もほぼ同じくらいなので、必然的にカロリーもあまり差はないですが、長く食べ続けたら健康に差が出てくるのは当然でしょう。
(まあ、スポンジケーキを毎日欠かさず食べる人はあまり多くないでしょうが、菓子パン類と材料構成は似ています)
あのダイヤモンドだって、しょせん炭素(C)ですから。
ただ炭素の並び方が、めちゃくちゃ綺麗です。
最近人気のカラーダイヤモンドは、結晶の軽いゆがみでピンクに見えたり、炭素に窒素(N)とかホウ素(B)なんかがくっついて、イエローやブルーなどのカラーに見えます。
世の中の物質を化学記号化しちゃうと、意外とあっけないですね。
なんか夢のない話になってしまいましたが、これが化学分析の限界と言えるかもしれません。
だからこそ、私たちは原料の出処を重視しています。
「もうちょっとタンパク質の数値を上げたい」と思っても、単純に魚を足せば上がるものではありません。
もちろん魚には、良質のタンパク質が含まれますが、同時に脂質も炭水化物も灰分(ミネラル類)も存在します。
魚の量を増やしたからと言って、単純にタンパク質(=窒素)の比率だけを増やすことはできないのです。