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東洋医学から見る⑦夏の食材の力


夏のおすすめ食材として前回のブログでご紹介したシソ。

シソは、生薬として使う場合『蘇葉』(そよう)と呼ばれ、

半夏厚朴湯(はんげこうぼうくとう)

香蘇散(こうそさん)

参蘇飲(じんそいん)

など結構メジャーな漢方薬にも使われています。

中薬では、シソの茎や枝部分を『蘇梗』(そこう)と言って、こちらの方が葉より効き目が良いと言われています。

またシソの種も『蘇子』(そし)と言って、これも生薬として使われます。

(シソってホント万能!)

生薬の原料として使う場合は、赤シソやチリメンシソを使うことが多いですが、普段の食事に取り入れる場合は、お好みの方で構わないと思います。

ちなみに漢方の生薬に『蘇木』(そぼく)というのがあり、最初に見た時は「シソのどの部分かな」と想像したのですが、こっちは蘇芳(すおう)の木のことで、全く違うものでした。

(-_-;)ヤヤコシイ

漢方薬や中薬を学ぶ時は、漢字との戦いでもあったりします。

ちなみに上記にあげた三つの漢方薬には、蘇葉の他に共通して入っているものがあります。

それは『生姜』

生薬の時は『しょうきょう』と読みますが、そのまんま”ショウガ”のことです。

ちなみに干したショウガの場合は『乾姜』(かんきょう)

この辺はさすがに分かりましたが、『川貝母』(せんばいも)なんて川にいる貝?と思っていたら、白く下向きに咲くアミガサユリの茎から作る生薬。

最近CMで良く見る『防風通聖散』の『防風』は、”風を防ぐ”っていうくらいだから結構大きな葉っぱ?と想像してたら小さい白い花がいっぱい咲くセリ科の植物。

(お刺身のツマにも使われるので、意外と目にしているかも)

実際に吹き荒れる風を防ぐのではなく、風の病=いわゆる風邪の解熱や鎮痛に使われるからそう名付けられたそうです。

『独活』(どっかつ)なんて、”ドッカツ”って入力しても変換候補に出ません。

しかし”ウド”って入れると出ます。

「これウドって読むの?」

と思わずつぶやいた恥ずかしいワタシ・・・。

そう春先に酢味噌和えなんかにする、あの”ウド”です。

独活は体を少し温めることで、余分な水分を乾かして取り、冷えや痛みを和らげる生薬として使われています。あと春先に出やすいムズムズする湿疹とかにも。

もちろん、どれも生薬に加工し、他の生薬と組み合わせることで薬になるのであって、食材として摂取した場合は、そこまで効果が強くありません。

しかし食事から摂る場合も、食べ合わせによってその食材のパワーを効率よく、より体調に合わせることができます。

基本的には五味(酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味)や三焦(上焦・中焦・下焦)がバランス良く組み合わさった食事が理想ですが、一食で完璧に摂ろうとすると長続きしません。

また体調や季節に合わせて、取り入れた方が良い味や意識した方が良い焦もあります。

そんな前提をご理解頂いた上で、今日ご紹介するオススメ食材は・・・

①すいか(涼~寒性)

体の熱を冷まし、喉の渇きも癒す。夏バテ解消にぴったりの夏のおやつです。

昔から果汁を煮詰めたものは、腎炎(急性・慢性)の民間薬として使われてきました。甘い赤い部分より、皮に近い白い部分の方が利尿作用があり、余分な水分を排出するには向いています。

また皮は解毒や疲労回復に良いとされ、皮を乾燥させた『西瓜皮』(せいかひ)は生薬として使われます。

ちなみに赤い果肉は『西瓜』(せいか)、種は『西瓜子仁』(せいかしじん)としてこれも生薬になります。

「ほとんど水分」と言われるすいかですが、丸ごと1個薬になるのです。

ただ胃腸が弱い、冷えやすい体質の場合は、弱火に煮詰めたものを与えるのがお勧めです。

煮詰めれば、白い部分も美味しく頂けます。

また五味で西瓜は甘味ですが、夏のお勧め食材の中に寒天(鹹味)があります。

煮詰めた西瓜を、使いやすい粉末寒天で固める簡単スイーツも美味しいですよ。

②しじみ(寒性)

夏の臓器・心臓は、肝臓と一緒にケアする必要があります。

そこで強力な助っ人としてしじみがお勧めです。

1月~2月の”寒しじみ”が有名ですが、7月~9月に出回る”土用しじみ”は産卵を控えて身に栄養を蓄えています。

タウリンやメチオニンが肝機能を補佐するのはもちろん、解毒を助け、余分な水分を調整して腎臓も助けてくれます。

水分調整によって、結果的に心臓の働きも助けてくれる上、血を補う作用もあり、この季節に摂らない理由はないくらい優れものです。

タウリンなどしじみの有効成分は水に溶けやすいものが多いので、だし汁を冷ましてフードにかけるだけで十分。

もちろん人間は、お味噌を入れて身も食べて下さいね。

粉山椒なんかをちょっと振ると寒性が和らぎます。

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