ホリスティックケア・カウンセラーの勉強をする際、まず学ぶのが『動物福祉』です。日本では『動物愛護』という言葉に比べると、あまり耳にする機会がないかもしれません。
そもそも”愛護”とは
〇可愛がって庇護すること(出典:大辞泉)
となっており、”動物愛護”とは
〇動物を人間と同一視しようとする理念に基づき、動物を大切にし、愛そうとする精神(出典:大辞林 第三版)
となっています。
この考えは素晴らしいものですが、あくまでも人間の視線で定義されているものです。可愛がるのも、庇護するのも人間ですから。
一方、”福祉”とは幸せや豊かさを表す言葉です。
そのため”動物福祉”=Animal welfareとは動物の心理的幸福を実現するという考えです。
これはペットとして飼われている動物はもちろん、
・経済行為として飼育される動物(家畜、家禽)
・動物園や水族館で飼育される動物
・各種研究の為に飼育される動物
・野生動物
など全ての動物が、それぞれの環境で感じる苦痛を可能な限り回避させようという理念です。
どんな基準をもって、
『その動物は幸福か』
『ストレスや苦痛を感じていないか』
と判断するのかは非常に難しいです。
ただ感情的な愛護とは、一線を画すものであるのは間違いありません。
そうでなければ、私たちは一切の動物性食品が食べられなくなります。
切り身になっている魚やスライスされたお肉。
お店できれいにパッケージされた商品を見ていると、命を頂くことを忘れがちになります。
しかしそれらがお店に並ぶまでには、屠殺という現場があります。
そういう場で、苦痛や恐怖を最小限にすることも”動物福祉”です。
また動物園や水族館で飼育されている動物も、本来の特性や習性が制限された状態である賛否が、議論になります。
しかしそれも可能な限り、本来の状態に近づけるよう配慮することが動物福祉の観点から重要です。
近年、熊や猿などが里に下りてきて、人が襲われたり、農作物被害のニュースが報じられることが増えていますね。
これなどは、熊や猿の目線で見れば
「人間が自分たちの住処に侵略してきた」
ということになります。
だから”追い払おうとした”。
あるいは”エサ場だった森に高速道路が出来てしまって食べ物が足りなくなったから探しに行った”・・・というような理由もあるでしょう。
ただ農家さんにとっては深刻な損害ですし、楽しい山歩きでばったり会っちゃった!というのはお互い避けたいことです。
そんな野生動物との棲み分けもまた、動物福祉の観点から検討すべきことが山積みです。
これは動物の種類や地形、気候などの地域ごとの条件・事情が異なるので、マニュアルのような画一化したルールが作れません。
そして昨年より続く、豚コレラの拡大。
現場では防除に向けた大変な努力が続いています。
同時に感染源として上がっている、野生のイノシシに経口ワクチンを散布する作業も続いています。
なんとか早く終息して欲しいと願う毎日ですが、経済動物の福祉を改めて考えるきかっけとなりました。
本当に感染源は野生のイノシシだけなのか?
別ルートの感染源はないのか?
ちょっと気になりながら、ニュースを追っています。
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