「猫が横取りして食べちゃうんですが大丈夫ですか?」
「猫が一時食欲がなく、おやつも食べなくなって困っていたんだけど、これは食べるんです。食べさせ続けても大丈夫?」
最近、このようなお声を複数頂戴しました。
結論から言いますと
『おやつとしては全く問題なし!食餌として与える時は犬同様、脂質を足して下さい。それとタンパク質も少し足して下さい』
猫が食べてはいけないものは、含まれておりません。
ただ猫は犬よりさらに脂質とタンパク質の要求量が高いので、食餌として食べさせる場合は足す必要があります。
レバーや脂身付き肉類を茹で、茹で汁ごと和えて与えるのがお薦めです。
猫の体は、少ない水分を効率良く使うよう出来ていますので、腎臓系の病気になりやすい傾向にあります。
それを極力防ぐためにも、手作り食は大変優れているのですが、犬以上に”難しい”と感じている方が多く、缶詰やパウチタイプのフードをお使いの方も多いです。
しかし春夏秋冬を”手作り食のベース”と捉えて頂ければ、缶詰やパウチよりお手頃価格な上、新鮮な材料を使った手作り食が簡単に出来ます。
近年、猫の飼い主さんからのお話を伺っていると、同じような悩みをお聞きすることが増えました。
それは
「袋の半分くらいを消費したところで、食いつきが悪くなる」
「あと半分くらい残っているのに、吐くことが増え、新たなフードを買うことが多い」共通項は”半分くらい消費した時に起こる異変”。
詳しくお聞きすると、4㎏~6㎏の猫1頭飼いの場合、1.5㎏入りフードを半分くらい消費した時に起こっています。
大袋の方が価格的にお得なフードがほとんどですが、半分くらい廃棄したり、嘔吐を繰り返しながら食べさせるなら、小袋の方がお得かもしれません。
一般に猫の方が、犬より食べる物の劣化や化学物質に対して敏感です。
これはおそらく野生時代の名残で
『新鮮なものしか食べない』
『腐ったものに対する危機感』
からくる特性です。
ネコ科の多くは、イヌ科のように食べ残した物を保存して食べる習慣がありません。
基本的に生きている動物を狩って食べます。
またドッグフードには防カビや保湿目的で使用される『プロピレングリコール』は、キャットフードには禁止されています。
プロピレングリコールは
『少量なら毒性はない』
との理由で、食品から化粧品まで人間用にも広く使われています。
(原材料欄には”乳化剤”や”保湿剤”と表記されていることもありますが、おむすびや麺類の原料となる米、小麦の”品質改良剤”としても使用されています。この場合、困ったことに原材料欄に表記されないことも多々あります)
「人間にも問題ない原料だから犬もOK」という理論のようですが、最近は人間でも問題になり、化粧品でもプロピレングリコール入りのものを避ける方が増えています。
それなのに、相変わらず犬に使用され続けているのは大いに疑問です。
その毒性について、猫では赤血球の減少やそれに伴う貧血などが報告されています。
また嘔吐・吐き気、下痢などの胃腸症状や、痙攣、昏睡、錯乱状態といった神経症状が指摘されています。
これは『少量ならOK』という問題ではなく、ドッグフードでも禁止するべき成分です。
そういう訳で、キャットフードにプロピレングリコールこそ含まれていないとはいえ、他にも化学添加物はいくつも使われています。
また食品と同様、原材料に表記されない添加物もあります。
それらに対して、匂いや食べた後のむかつきなど、嫌悪感を感じている猫がいても不思議ではありません。
それと同様、冒頭の”半分以上食べると食いつきが変わる”というのも、酸化した脂質に嫌気がさしているのかもしれません。
(現に我が家の猫がそうです)
”酸化”は”劣化”を示す一つの状態です。
猫がその状態に敏感なのは、当然と言えます。
それを勘案すると、キャットフードこそより自然で品質の高いタンパク源を使い、化学的な添加物不使用で作る必要性を強く感じています。
(実際ありがたいことに
「キャットフードを早く作って欲しい」
とのお声を頂戴していますが、粒の大きさ、硬さ、香りなど、猫ごとの嗜好性が多彩すぎて、苦労しています。(;一_一))
最後にもう一つ。
ここ数年、改めてプロピレングリコールの危険性を認識したのが”電子タバコ”です。
(加熱式タバコなども)
従来のタバコも、服や手にニコチンやタール等の有害物質が残り、それが猫に付くことはとても危険です。
猫は自分で体を舐めて毛づくろいするからです。
電子タバコには、プロピレングリコールを含むものがあり、その副流煙は従来のタバコ同様危険です。
関連ブログ⇒栄養素と免疫(脂質編)