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植物の力


京都・桂川沿いの桜が、横倒しになったまま満開に咲く姿をニュースで観ました。

昨年9月の台風によって倒れてしまったそうです。

傾いている・・というより完全に倒れ、中には根が露出してしまっている木もあり、よくこの状態で花を咲かせたと思うと同時に、植物のパワーに驚かせられます。

(行政も対応を検討しているそうで、なんとか来年以降もきれいな花を見せてくれることを願ってやみません)

このように、どんな気候変動があっても移動できない植物。

地球誕生後、海で最初の生物が生まれてから動物が登場するまで、長く植物の時代でした。

その頃はまだ空気中の二酸化炭素が多かったことも、植物にとって過ごしやすい環境だったのでしょう。

参考ブログ⇒大豆の不思議

彼らにとって”酸素”は廃棄物であり毒です。

そのため酸化ストレスに対応するためポリフェノール類などの”抗酸化物質”を作り出しているのです。

同時に、病気に打ち勝つための抗生物質や抗菌物質、また益虫は呼び寄せるが、害虫は寄せ付けないホルモン物質など、その能力の高さは動物の比ではありません。

現に私たちがお世話になっている多くの薬が、植物から抽出されたり、その物質を合成した成分です。

その一つが、柳の樹皮から抽出した解熱鎮痛に使用されるアスピリン。

この有効成分はサリチル酸で、現在は簡単に合成されるようになったので、解熱鎮痛剤に限らず、イボを取る外用薬や洗顔料にも配合されています。

また近年は、本来副作用と考えられていた『血が固まりにくくなる作用』を利用して、血栓の予防剤にも使用されています。

柳の樹皮は、漢方薬や中薬でも使われていて、やはり歯痛を始めとした痛み止めで使われています。

不思議なことに柳の木は、洋の東西を問わず古くから薬として用いられてきた植物なので、かなり長く研究されてきました。

中にはおもしろいものもたくさんあって、”記憶”に関するものもあります。

”記憶”というのは”柳の木の記憶”です

ただ脳を持たないので、科学的には植物に”記憶”という表現は適してないとされています。

(※仮に科学的な定義や表現はそうであっても、”記憶”と表現した方が分かりやすい上、個人的にもその方がしっくりくるので、本ブログではそのような表現にします)

柳に限ったことではないのですが、明らかに自分の身に起こったことを”記憶している”という研究は多いです。

それは

『虫に食べられた』

『暴風雨で枝が折れた』

『ウィルスに感染した』等、動物なら怪我とか感染症というような日常起こり得る状況です。

例えば葉を食べられてしまえば、エネルギー生産に欠かせない光合成が行えません。

そのため、葉を食べられると、それ以上食べられないよう毒素を作ります。

ただ自分にとって必要な存在の虫までやっつけてしまったら意味がないので、相手の弱点をピンポイントで突くような物質を作ります。

また樹液を吸われるということならば、栄養障害が起こるので、やはり害虫となる存在だけを寄せつけないホルモン様の物質を作ります。

ただどちらも虫の数があまりに多いと、対応しきれず枯れてしまうことも起こります。

柳はそんな時、近くに存在する他の柳にも

「大変な数の虫に攻撃されている。君たちも備えてくれ!!」

というメッセージを送っている可能性がある研究で示唆されています。

なぜなら一度そういう目にあった木やその近くの木はもちろん、その種にも想定以上にたくさんの虫に襲われた時の対処方法が継承されている・・・というのです。

つまりある種類の虫が近づいてきた時に、これまでより強い毒性物質を出したり、新たな毒性物質を作る機能を強化します。

新たな機能を作れば、その分新たなエネルギーが必要になるので、何かこれまでの活動の中からあまり使わなかった機能を整理する必要が出ます。

スマホのジャンクアプリを整理するのと似ています。

容量に限度がある中で目一杯アプリを使うと、動作が遅くなるイメージですね。

こうして植物は、その土地や気候にあった機能を獲得していくのです。

遺伝子組み換え作物では、こうした毒素を作る機能を、違う植物に組み入れることもよく行われています。

このパターンでの問題は大きく二つあります。

①通常は虫が付いた感触や食べられて葉や茎などに損傷があった場合、毒素を作って現場に急行させます。

しかしその機能だけを組み入れた作物は、常に作り続けます。

そもそも組み込まれた植物にしたら、扱ったことのない物質。

指示系統がありません。

そのため可食部にも毒素が紛れ込む可能性はゼロ・・・と断定することはできないはずです。

②植物同士のコミュニケーションは上記以外にも証明されているので、人間にとって都合が悪い機能を発現させる可能性もあること。

人間にとっては『食べる』のが目的でも、植物側にとっては、『種を確実に継承する機能を高めること』が最優先なのです。

私たち動物が生きるために、植物の存在は不可欠です。

これは肉食動物であっても無関係ではありません。

補食される動物が、草食動物や昆虫などだからです。

また野生動物だけでなく、家畜・家禽を育てるには大量の穀物類が必要です。

私たちを含め、ペットたちの健康を考える時、まず植物を知ることが必須なのは、そのような理由からです。

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