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肉副産物とその奥に広がる問題②


遺伝子組み換えしたクレブシエラ・プランティコラという細菌が、小麦の生育に関わる栄養障害を起こした原因は、未だに判明していません。

前回のブログではその原因について、簡単に思いついたものを三つほど挙げました。

①組み換え細菌が想定外の機能を発揮した結果?

②組み換え細菌が、他の土中細菌類のバランスを崩した?

③たまたま実験した土の成分が、組み換え細菌と相性が悪かった?

この実験をしたオレゴン州立大学の研究予算の一部は、アメリカ環境保護庁が負担していました。

そのため当然原因究明のため、追加予算が出るだろうと思われました。

遺伝子組み換え作物を作る際、組み換え細菌を利用することも多いので、作物そのものの安全性試験はもちろん、土壌や環境に関する調査は重要です。

例えば

・土中細菌のバランス変化

・他の細菌への影響

・地下水への影響

・花粉が組み換えていない元の作物や近縁種に交雑した時の影響

・花粉を運ぶ昆虫への影響

・その昆虫を食べた動物への影響

など・・・

このへんは環境保護庁が監督すべき項目でしょう。

少なくとも小麦が栄養障害を起こした原因が、遺伝子組み換えしたクレブシエラ・プランティコラである可能性が排除できない結果が出ている上、もしこの細菌が問題を引き起こしたのなら、想像以上に広い生態系に影響を与える可能性すらあります。

看過できない問題として、当然追加実験が行われるものと思われていました。

ところが環境保護庁は、予算を引き上げ、実験の打ち切りを決めたのです。

するとこの実験に関して、各国の研究者たちから様々な意見がでました。

『特定の土だけを使っていたからで、他の地域や種類の土だったら同じ結果になるとは限らない』

『そもそも特定の目的の為に遺伝子組み換えされた細菌だから、元の細菌のように広い環境で生存できる可能性は低い』

など、”環境に対する影響はほとんどない”という意見がある一方

『広い範囲の植物を枯らす可能性があり、大陸全体の植物に影響が考えられる』

『多くの植物に影響を与えるということは、極端な場合、人間を含めた多くの動物の生命の消滅すらあり得る』

というような遺伝学者や環境学者からの地球環境全体を危惧する意見もありました。

どちらにしろ可能性の話だけで、追加実験をしなければエビデンスが足りません。

しかし環境保護庁は驚くべき主張をしました。

「実験を正しくやらなかったから、間違った結果が出た」

そもそも環境保護庁が設計した実験手順は、今回のような”予想外の影響”を見つけるためには不適切な方法を設定しています。

彼らは主に『無菌化した土壌』で実験をします。

そのような自然環境上存在しえない土壌に、どんなに遺伝子操作した生物を入れても、他の生物に対する影響など示すわけがありません。(微生物すらいない環境なんですから)

『影響がない』という結果を出すための実験手順としか思えません。

少なくとも環境保護庁の言う正しい手順は、生物学的、生態学的には正しい手順とは言えないのです。

このように公的機関の見解が、いつも正しいとは言えないことが多々起こっています。

特に大きなビジネスが絡む場合、ネットだけでなくTVや新聞の報道すら鵜呑みにできない時代になりました。

世の中全てのリスクをゼロにすることは非現実的ですが、明らかにリスクが疑われ、しかもひとたび発生したら甚大な規模になる可能性を含んだものを放置したり、見ないふりをするのは疑問です。

生きていく上で、私たちを含めあらゆる生物にとりタンパク質は重要です。

しかし遺伝子組み換え作物から、未知のタンパク質が検出されることがあります。

その弊害は下痢や嘔吐といった食中毒のような症状で姿を現すこともありますが、それは体が拒否した結果なのでまだマシです。

問題は異物のまま肝臓で処理できず、腎臓からも排出できず、筋肉や内臓を形成するタンパク質として利用されることです。

牛乳などは乳房から出る直前まで血液です。

不自然な操作で作りだされたタンパク質が、エラーを起こさず、すんなり生体に馴染むことの方が恐ろしいです。

そして細胞エラーの代名詞”ガン”。

人間だけでなく、犬猫の世界でさえ若年(4~5歳)でのガン発症を聞くことが増えたのは偶然でしょうか?

アレルギーの発症も同じです。

どちらもタンパク質が深く関わる問題です。

肉にしてもその他の植物性原料も、飼料用か人間用か・・というグレードの問題ではなく、それを育てるレベルで大きな問題が起こっています。

そしてその問題を正しく理解するには、大変な労力を必要とする時代になってしまいました。


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