市販のペットフードの原材料を見ると、〇○ミールという表記をよく見かけます。
〇○の所には『チキン』とか『ミート』とタンパク源となるものが入っています。
また『ミール』という表記の他に『肉粉』記載されていることもありますが、
ミール=肉粉
と思って頂いて結構です。
ミールとはmeal⇒食事という意味もありますが、オートミールのミールと同じ意味で『ひきわり粉』とか『(穀物などをふるいにかける前の)あら粉』という状態を表しています。
そのイメージでいくと、まるで粗挽きハンバーグのような美味しそうな感じがします。
しかしペットフード(飼料)の規定では
血液・ひづめ・角・歯・くちばし・毛(羽毛)・くず皮 ・胃(牛の場合第一胃)・糞を精製したもの
また胃の残留物はペプシン(消化酵素)で消化できなかったものが 12%以下であること。またそれらを精製した後の物質は、(食する動物の) ペプシンで消化できない粗タンパクが9%以下であること。
改めて読むと、すごい基準ですよね。
この時点(原料のごく一部ですよ!)で、犬猫が消化できないタンパク質が9%以下なら良いという基準。
百歩譲って、牛の胃(第一胃=ミノ 第二胃=ハチノス 第三胃=センマイ 第四胃=ギアラ)は私たちも焼肉で食べます。
第二胃は有名なイタリア料理トリッパにも使いますね。
またスペインの一部地方ではソーセージに豚の血を混ぜてコクを出すこともありますから、食材としてはセーフでしょうか。
ただ人間の食材に使用される血や胃は鮮度はもちろん、解体の際、汚染されていないことが大前提です。
それがわずかでも守られないと、大変な事故になります。
しかし〇○ミールは、胃の残留物や糞を精製したものも含まれています。
その他の羽毛や角・ひづめなども肉の解体現場では”廃棄物”として扱われるものです。
一般的に廃棄物=ゴミの衛生状態を保ったり、冷蔵保管すると思いますか?
(答えは皆さんのご想像通りです)
”ヒューマングレードの食材使用”と謳っている商品でも、中には”ヒューマングレードの食肉を取った後の残渣物”という悪質な物もあるので、一体何を信じて良いのか分かりません。
実際、屠殺場に運ばれてくる家畜は、人間に食べられるために解体されるのですから、全て”ヒューマングレード”です。
しかし解体したら病気があったり、使えない部分がどうしても出てきます。
それまで”ヒューマングレード”というのは納得しかねます。
またミートミールには、『牛・豚・羊・ヤギ以外の哺乳動物でも良い』となっています。
日本でも10年くらい前に某県議会の環境委員会で問題になりましたが、殺処分された犬猫がペットフード関連業者に流れていたことがありました。・・つまり、まあそういうこともあり得るということです。
しかしこればかりは、原料表記欄から全く分からないので非常に悩ましいところです。
ある時ペットフード関係者からこんな話を聞いて驚いたことがあります。
「野生動物は、強い個体ほど内臓から食べるもの。だから内容物も食べるのが当たり前。むしろ途中まで消化したものを食べることで、犬も猫も”生きた酵素”が取れるから健康だった。ねずみやスズメなどの小動物は、丸ごと食べていたのだから、それこそ犬猫の完璧なホールフードだ」
確かに胃の内容物まで食べていたのは間違いないです。
腸内の糞だって食べていたでしょう。
今も野生のライオンやひょうは食べているでしょう。
ただペットとして、人間の近くで生活している動物は、野生動物とは違います。
前回のブログ(亥年に寄せて)で書いた豚コレラや鳥インフルエンザなど、野生動物と感染症は私たちの生活にも深く関係しています。
同時に犬猫たちも感染症との闘いから遠くなったからこそ、これだけ寿命が延びているのです。
ねずみなどは『走る病原菌』と言われているくらい多くの病気を媒介しています。
上記発言者は、栄養学に精通した方でしたが、”ねずみやスズメは犬猫の完璧なホールフード”という考え方を私は生物学的・微生物学的に全く受け入れられません。
(注:栄養学の専門家が全てこのような考え方というわけではありません。この方個人の考えだと思っています)
世界中でペストが大流行することがなくなったのは、ねずみを絶滅させたからではありません。
衛生環境の向上=上下水道の整備や生活全般で清潔を保つことが、健康に寄与することが周知されたからです。
野生時代の食餌をそのまま忠実に再現することが、正しいとは言えません。
ましてや安価なペットフードが〇〇○ミールを使用する理由は、野生時代の食餌を再現するためでもありません。
廃棄の手間と経費を節減できるだけでなく、儲ける材料になるからだと確信しています。
★次回予告:肉副産物(ミート副産物という表記もあり)についてお伝えします!