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東洋医学から見る②秋~土用に起こりやすいこと


”木枯らし一号”とは、10月半ば~11月に初めて吹く風速8メートル以上の北風だそうです。

ちょうど土用(今年は10月20日~11月6日)の時期と重なります。

青森県内であれば山の方で雪が降り始め、首都圏でもコートが必要になる日が出てきますね。

その頃になると、人間社会では風邪がはやったり、一時的に体調不良を感じる方が増えます。女性なら肌のかさつきが気になり始める時期でもありますね。

犬たちをみても、秋~土用は一番症状が複雑になるように感じています。

それは一般的に暑さが苦手とされる犬が、夏の疲れと重なることも無関係ではないでしょう。

秋に関係している臓器は肺と大腸です。

土用は脾臓と胃

そして向かう季節・冬は、腎臓と膀胱です。

腎臓と膀胱がセットになっているのは理解しやすいですが、肺と大腸っての関連って?

共通点を挙げれば、どちらもダイレクトに体内の老廃物を排出していることです。

肺は二酸化炭素を、大腸は便を。

同時に肺は、酸素を取り込んでいますよね。その時空気中の水分も取りこんでいます。

大腸でも水分を吸収しながら便を形成していきます。

実はこの肺や大腸が取りこむ水分が大切で、秋口に乾燥し始めると風邪(感染症)や気管支炎、ぜんそくなどが起こりやすくなるのと関係しています。

また肺は、胃と脾臓にエネルギーを供給してもらって活動しています。

そうやって肺や大腸が取り込んだ水分は、今度は腎臓が活動するためのエネルギーになります。

つまり・・・

脾臓・胃⇒肺にエネルギーを供給

肺・大腸⇒腎臓にエネルギーを供給

腎臓・膀胱⇒肺・大腸が取りこんだ水分を体液として取り込み、全身に配分

ざっくりした流れはそんな感じです。

(実際は心臓や肝臓など他の臓器も関係していますが)

また肺は、皮膚や被毛を支配していると考えられています。

皮膚や被毛は、まさに体の一番外側ですが、物理的な意味だけでなく、外からの刺激・・・病原菌やウィルスだけでなく、寒さ、暑さ、風、湿気、乾燥などから全身を守っています。

そもそも肺は外邪(=西洋医学的に言えば病原菌など外から入り込んでくるもの)の防御壁と考えられています。

大腸も近年の研究で腸内細菌叢の働きが、アレルギー物質の防御や免疫力に関連していたことが分かってきています。

しかし昔から経験的に、重要な防御壁の一つとして認識されてきたことはすごいことです。

肝臓のエネルギーが健や筋を支配し、爪や目とつながって、外にサインを出すのと、また違った流れです。

しかし皮膚に症状が出ていれば、肺の防御力が下がっているかというと、そう単純ではありません。

可能性1

脾臓や胃に不調がある

肺に十分なエネルギーが供給されていない

防御力が落ちる

皮膚に症状が出る or 気管支炎や感染症など

可能性2

肺が弱り、腎臓に十分なエネルギーが供給されない

水分の取りこみや配分が上手くいかない

腎臓の問題や冷え、皮膚の乾燥 or じゅくじゅくした湿疹など

西洋医学では、

浮腫み⇒出す

脱水⇒補液

と単純に対応しますが、東洋医学では例えば浮腫みなら

・水分が上手く流れていない

・どこか部分的に滞っている

などと考え、脱水なら

・熱がこもって水分を消費しすぎている

・どこかに水分が奪われている

・吸収がうまく行われていない

というような可能性も考えます。

例えば大腸が弱っていて水分吸収率が悪いがために、必要な水分を腎臓が上手く配分できない・・ということも起こり得るのです。

大腸と肺はセットでしたね。

肺が弱っている時は大腸も連動してしまうので、結果的に腎臓や膀胱に症状が出るという流れはこうして起こるのです。

場合によっては

『ここに滞っている水分をあっちに移動させてあげる』

というようなこともして、徐々に全身のバランスを整えていきます。

西洋医学は皮膚なら皮膚の、腎臓なら腎臓の、胃なら胃の薬で治療をしていきますが、何度も繰り返したり、慢性的な症状なら、一度全身を俯瞰してみることも大切です。

一見皮膚や腎臓の問題に見えても、実は原因は胃や肺にあるかもしれません。

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