古事記に大己貴神(おおなむち)という神様が出てきます。
一般に大国主命(おおくにぬしのみこと)の子供の頃の名前とされていますが、この神様が、貝の粉で治療・蘇生した神話があります。
兄弟の策略に合い大己貴神(おおなむち)は殺されてしまいます。
(神様同士でもこんなことあるんですね!)
すると彼の元に、二人の女神様が遣わされます。
一人はさき貝比売(さきがいひめ)。
もう一人は蛤貝比売(うむぎひめ)。
さき貝比売は、貝殻を削り、その粉を集めて体に塗った。
蛤貝比売はハマグリの汁で溶いた母乳を塗って治した。
と出てきます。
蛤貝(うむぎ)とは漢字で分かるようにハマグリのことですが、さき貝とは、赤貝の古い名前だそうです。
和漢では蛤の殻の粉を、火傷や痔の時に使う生薬として使ってきました。
漢方の世界でも、ハマグリの殻の粉は、『文蛤』という名で出てきます。
やはり虫歯や悪性の腫物、痔の治療などに使っています。
文蛤とは、模様のある二枚貝という意味があるので、実際はハマグリだけでなくシジミやアサリなども含むものと考えられています。
つまりかなり昔から経験的に、貝殻の持つパワーが知られていたのですが、近年また注目を浴びています。
青森県は、北海道と並んで、ホタテの一大産地です。
一方で大量の貝殻を含む、貝ひも、うろ(食べられない黒い内臓部分)等の処理に困っていました。
最近貝殻以外の残渣物も、特殊な加工を施して肥料にする実験もしていますが、貝殻の方は一足先により優れたパワーがあることが分かりました。
貝殻を1100℃以上の高温で焼いたパウダーで水溶液を作ると、抗菌・防カビ・脱臭等様々な効果が認められました。
ただパウダー状にしただけではダメで、焼くことで炭酸カルシウムが酸化カルシウムになるのが重要だそうです。
湿気やすいお菓子などに入っている乾燥剤などの主な成分は、この酸化カルシウムです。
ただ酸化カルシウムいわゆる生石灰(せいせっかい)の状態だと、水分やタンパク質と接触した場合、発熱して危険です。
そのため一度、水と反応させて水酸化カルシウム(消石灰)にします。
そうすることで、様々な場面で安全に使える状態になります。
1Lの水に1g溶かすだけで、簡単に強アルカリ水が出来、日常生活の様々な用途に使えます。
例えば
①床のモップ掛け
②テーブルを拭くとき
③トイレ・お風呂など水回りの掃除・除菌・防カビ
(入浴剤としても)
④スニーカーや革靴など洗えないものの除菌・消臭
⑤洗濯に
(洗濯漕の除菌、汚れ付着防止・洗濯物の消臭、除菌・洗剤使用量の削減)
その他、畑の土壌改良にも使えますし、食品添加物として認可されているグレードのものは、麺のコシを出すかんすいの代わりにも使えます。
そして犬のおしっこを流す水にもお薦めです。
匂い防止に、お酢を混ぜる方もいますが、道路標識など金属に対して酸性水をかけると、腐食を早めてしまいます。
アルカリ水ならば、サビを安定化し、腐食スピードが遅くなるのでお薦めです。
金属以外の環境でも、一般に犬のおしっこは酸性なので、それを中和してくれるので安心です。
以前、除菌消臭剤の危険性を書きましたが、このホタテ焼成パウダー水溶液は、それの代わりにもなります。
欠点をあげるとすれば
①粉末の粒子が細かいので、容器に詰め替える時やお風呂に入れる時など吸わないように気を付ける
②お風呂掃除など、粉末を直接振りかけて使う際は手袋をする
pHが12くらいありますので、肌の弱い方だと手指がかさつくことがあります。
『シュッ』とひと吹きで、匂いが消えることもお花の匂いが漂うこともありませんが、毎日頻繁に使うものほど、慎重に選びたいと考えています。