先日、犬の先進国と言われるドイツで、衝撃的な事件が報道されました。
それは乳児と犬をリビングで留守番させていたところ、咬傷事故が起き、乳児が亡くなってしまいました。
ご両親のショックは計り知れないですが、この事故を機に、ドイツでは『飼い主資格制度を全国区に』という声が上がっているそうです。
すでに一部の州では、『飼い主資格制度』が導入されており一定の成果を上げています。
公共交通機関でも、飲食店でも犬連れが珍しくないドイツ。
このような社会を実現させたのも、人間側の意識の高さで成り立っています。
飼い主はもちろん、小学校などでは町で犬と会った時の接し方や基本的な知識を教えます。
このような教育は、事故を防ぐ大きな効果があるのはもちろん、ただ『動物愛護の気持ちを育てましょう』というより実践的で、子供のコニュニケーション能力を育てる効果があるとされています。
なぜなら人間同士とは違う、犬とのコミュニケーションを学ぶことで、高学年になった時、言葉や習慣の違う相手とどう付き合うか?あるいはどう受け入れるか?ということを学ぶことにもつながると言います。
犬とのコミュニケーションが、
『自分たちの価値観では測れない世界があることを知る』
きっかけになっているようです。
そのような教育が行き届いているドイツでも、トラブルが全くないわけではありません。
『飼い主がその犬の気質や、共に生活する上の知識が十分でない場合』犬を保護して、飼い主から取り上げることもあります。
また十分な餌を与えないことはもちろん、
健康を害するほど太らせすぎている。
病気なのに治療を受けさせない。
十分な散歩、運動をさせない。
吠えや飛びつき等を放置して、正しいしつけをしていない。
長時間、犬だけを留守番させている。
というような理由でも飼い主から、犬を取り上げてしまうことがあります。
つまり”犬のトラブル”と言われることも、犬が悪いのではなく、正しいしつけや扱い方ができない”人間の問題”と考えます。
犬同士でも当然相性があり、犬的に『気に入らないヤツだな』という時もあるようです。
それでも犬社会の最低限のルールを守るしつけをするのも、飼い主の役目だと考えます。
「この子は犬が苦手なんです」
(※”この子”って犬のことですよ~)
「うちの子は犬に吠えるから、早く行って!」(⇒これ散歩中に私が経験した実話です)
このような言い訳はドイツでは許されません。
全ての犬と仲良く遊べる必要まではありませんが、犬的に『関わりたくない相手だな』と思えば、
距離を置く
無視をする
ということができないと、公共の場で空間を共有することは難しいです。
自然災害が多い日本。
いつ大都市でも起こるやもしれません。
そんな時、避難所で
「うちの子は犬が嫌いで吠えるので、あっちへ行って下さい」
というようなことができるわけがありません。
またその時になってしつけようとするのは現実的ではありません。
そういう状況は、周囲の人間だけでなく、犬にとっても精神的・肉体的負担が大きいことを普段から考えておく必要があります。
犬と共に暮らす・・というのは人間が精神的・肉体的に成長する良い修行かも・・と思う今日この頃です。