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ビタミンKのお仕事


いまひとつ注目度が低い?ビタミンK。

『どんな働きをしてるの?』

ざっくり言うと、タンパク質合成の補酵素的な働きが多く、地味で目立たないのですが、ないと非常に困ったことになります。

まず骨の形成に重要です。

”骨”というと”カルシウム”が真っ先に思い浮かぶと思います。食事から摂取したカルシウムは小腸から吸収されますが、まずこの時ビタミンDが吸収をアシストします。

そして血液に乗って全身を巡りますが、それを骨に取り込む際もまたビタミンDが助けます。しかし取り込まれた後、カルシウムをくっつけて、骨を形成していく糊が必要になります。

その”糊”の役目をするタンパク質を肝臓で合成する時に、ビタミンKが必要なのです。

つまり強い骨を維持するためには、カルシウム・ビタミンDと並んでビタミンKも必須です。

そして出血した際、血液を凝固させて止めなくてはなりませんが、その時に必要なタンパク質(プロトロンビン)の合成にも関わっています。

他にもビタミンKが合成に関わっていると分かっているタンパク質は、機能が良く分かっていないものも含め体内各所に約10種ほど判明しています。

その中には、血管の過剰な石灰化を抑制するもの(アテロカルシン)や、腎臓内の結石形成を防ぐ働き(腎Glaタンパク質)をするものもあります。

ビタミンKはK1~K8までありますが、K3~K8は合成です。天然物はK1とK2のみ。

ちなみに合成ビタミンであるK3は安価なため、動物用飼料には使用を許可されていますが、毒性が強いため人間への使用は禁止されています。

K1(フィロキノン)は植物にしか存在せず、パセリ、春菊、かぶや大根の葉、海藻にも含まれています。

現実的に食べることを想定した量で含有量を換算してみると

パセリ1本(5g)=42㎍ 

茹でたかぶの葉1株分(33g)=88㎍ 

乾のり1枚(3g)=78μg 

お茶葉にも高い濃度で含まれているのですが、抽出液いわゆる”お茶”として飲んでも、あまり摂取できません。

これに対しK2(メナキノン)は主に動物性食品に含まれ、鶏の胸肉やあわび、鶏卵、バター、そして納豆にも含まれます。

そしてビタミンK2にはいくつかのタイプがあるのですが、中でもメナキノン-7は、微生物が生産するので、腸内細菌もある程度作り出すことができます。

ただ、あまり吸収が良くありません。

そのため腸内細菌叢が出来上がっていない新生児や、加齢と共に腸内細菌の生産能力が落ちてきた時は、食べ物から摂取する必要が出てきます。

それ以外の場合も、例えばストレスがある時や体調が悪い時、抗生物質を使用した時など、腸内環境によって補充する必要があります。

納豆は、原料の大豆にK1を含む上、納豆菌が作り出すK2とダブルで摂れます。

しかもあのネバネバ(水溶性タンパク質)の複合体として存在しているので、吸収が良いのも利点。そのため粘りの強さとビタミンK2の量は比例します。

ちなみにその量は

つぶ納豆小パック(50g)=300㎍ 

ひきわり納豆小パック(50g)=465㎍

ひきわり納豆の方が多いのは、大豆の表面積が大きく、それだけ納豆菌の活動面積が大きいから。

またメナキノン-7は、同じように微生物が介在する発酵食品でもチーズやヨーグルト、味噌などにはほとんど含まれません。

日本はカルシウムが少ない軟水で、乳製品の摂取も特出して多くありません。

近年若い女性の骨密度の低さが問題になっていますが、日本人のカルシウム不足は今に始まったことではありません。しかし昔、骨粗しょう症が少なかった理由には、天日干しのシイタケなどに含まれるビタミンD、そして納豆や海苔などの海藻類に含まれるビタミンKの存在があったのは間違いないでしょう。

少ないカルシウム量でも、効率よく吸収し、取り込んだものは無駄なく利用する。

ここにも栄養素の≪量≫ではなく≪質≫、そしてバランスの良い食事の大切さを物語っているように思います。

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