春が持ち遠しい季節。
イチゴのショートケーキは1年中ありますが、スーパーや八百屋さんでイチゴが並ぶようになると「春だなあ・・・」と感じます。
ところで犬や猫は、”赤色”を見る能力がなく、動体視力は良いのに、その分色を判別するのは得意ではありません。
その理由は、まだ恐竜が闊歩していた時代にさかのぼります。
海で誕生し、その後陸上生活に適応していた原始的な哺乳類は、大きく無敵の恐竜たちから逃れるように、夜間行動する能力を高めました。
そのため暗い中でもっとも見づらい”赤色”を見る能力をあまり必要としなかったため、他の能力の強化するためにも削除してしまったと言われています。
ちょうど最新のスマートフォンのように、多くのアプリをダウンロードするための容量を確保するために、電話やメール機能を簡素化したのと似ています。
電話とメールの最低限の機能は維持しながらも、自分が使いやすいようにカスタマイズする。
生物の進化も同じように行われてきたと言えます。
その後、恐竜たちが地球上から消え、哺乳類同士の競争が激しくなると、一部の哺乳類は再び生活の場を海へと戻していきました。
それが、アシカやアザラシなどの鰭脚類です。
彼らは、『ネコ目 イヌ亜目 鰭脚下目』のアシカ科またはアザラシ科となります。
しかし哺乳類の中でも、昼間の行動にシフトしたグループがあります。
それが私たちホモ・サピエンスの先祖、サル類です。
明るい陽の中で生活するため、自分の姿が丸見えで、狩りをするには不利な環境です。
その分、木に登り遠くを見渡したり、木の上のものを取ったりする能力を発達させました。すると必然的に、熟した実とそうでないものを見分ける能力が必要になりました。
熟した実から放たれる香りは、ある程度近づかないと分かりません。
しかし熟したサインの色が識別できれば、遠くから見つけることができます。
そこでサル類は、”赤色”を見る能力を復活させたのです。
(再ダウンロードですね!)
原始的な哺乳類でも草食に適応したグループは、行動パターンが昼間にシフトしても”赤色”を見る能力はあまり必要としませんでしたので、哺乳類の中でも稀有な存在になりました。
この進化がなかったら、大間のマグロが人々を魅了することもなかったかもしれないし、赤信号も世界的炭酸飲料メーカーのロゴも存在しなかったかもしれません。
そしてそれらを見ると、反射的に注目したり興奮するのは、いわば熟した果実を見つけた時の喜びとして本能に深く根付いているからとも言えるでしょう。
しかし私たちより、さらに鮮やかな色の世界を恐竜の時代から見ているグループがあります。
それは鳥類。
彼らは紫外線色も見えていると言われています。
そのため一般に、鳥類のメスは地味な色合いと言われていますが、鳥同士では違う色柄に見えている可能性が高いのです。
生物の特性の違いは、能力の高い・低いではなく、自分に合ったアプリを選んでダウンロード(?!)した結果です。
つまり自分が、安全に生活しやすい環境に適応した結果であって、生物の優劣とは関係ありません。