BHTとBHAは、犬仲間やネット等でしばしば話題になり
『なんか危ない成分』
『発ガン性がある』
という認識をお持ちの方も多いと思います。
もちろん、私も同意見です。
しかし意外と、
『どうして悪いのか』
『どういう成分なのか』
というところは、あまり知られていないように感じていたので、今回取り上げました。
例えば、犬の管理栄養士の資格を取る際の教科書には
「食品添加物として厚生労働省が認可している酸化防止剤であり安全」
と書いてあり、獣医師による講習会では
「むしろ、近年流行っている”無添加”を謳っているフードの方が危険」
と教わりました。
試験問題と議論しても仕方がないので、もちろん解答用紙には、教科書を前提とした答えを書いて無事合格しました。(苦笑)
BHT=ブチル化 ヒドロキシ トルエン
(名前の響きからして危なそうな気配がしますね)
合成ビタミンEに似た構造をしていて、酸化を防ぐだけでなく色・匂い・味の変化も防ぐので、食品に関わらず化粧品(洗顔料・化粧水から口紅などのメイク用品まで)・シャンプー・ボディーソープ、ゴム製品や石油製品にまで使え、非常に重宝されています。
食品では主に肉や魚の冷凍、乾燥保存、ショートニングや植物油の酸化防止に使われていました。
具体的に言うと、ビーフジャーキーやクッキー・ビスケット・ポテトチップス・シリアル・チューイングガムなどです。
BHA=ブチル ヒドロキシ アニソル
こちらも脂によく溶ける性質を持つので、脂質の酸化防止には使いやすい。
BHTと適応する食品もほぼ同じで、バター、マーガリン、食用油脂類、冷凍魚介類、魚の乾物など。
当初、厚労省としては、どちらも認可しない方向で審査を進めていたそうです。
しかしビーフジャーキーや肉類の缶詰、バタークッキーなどお菓子を輸入する際
障壁になっていたので、関係省庁や政治的な配慮から要望、外圧があり検討を始めました。
どちらも公式な発表では発ガン性は認められていませんが、BHTの方は、変異原性(DNAや染色体に損傷を与えて突然変異を起こさせる)を認めています。
そこからかなり研究され、1970年代以降、アメリカでも食品への添加は実質的に行われていません。
(なぜかその頃から、ペットフードに添加されるようになったのは偶然?)
そこで代わって重用されるようになったのが、BHAです。
しかしこちらは1981年、名古屋市立大学の研究で、発ガン性の可能性があるとの結果が出ると
厚労省は「やはり!」とばかりに禁止に動きます。
この厚労省の対応に、一部のマスコミは
「海外では広く使用されているのに過剰な反応」
「食品の安全管理に逆行する」
などと非難しました。
すると暫くして、
「あの研究はマウスでの結果で、マウスと人の胃は同じではないから」
との理由で禁止は解除されました。
確かにアメリカやEUの最新の報告(2011年)でも”発ガン性はない”との結論に至っていますが、別の問題が指摘され、EUでは子供が食べる食品への添加が禁止されています。
それは
『落ち着きのなさ』
『突然キレる』
という脳に対する影響。
特に5才以下の子供は顕著に見られました。
それはわずか数年の間に増え、EUではすぐさま禁止にしました。
これについて、いくつかの報告や実験結果も見ましたが
≪体重あたりの許容量を超えた時が問題≫
なのか
≪成長期の神経組織に与える影響≫
なのかは、判断がつきません。
個人的には、どちらも原因となっているように思えます。
なぜなら脳は、水分を除くと60%が脂質で形成されています。
その他全身の各細胞膜も、その形質・機能を維持するためには
脂質が非常に大きな役割を果たしています。
BHT・BHAは脂質に非常になじみやすいのが特徴です。
その特性を考えれば『影響がない』とは到底思えません。
(⇒つづく)