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今年もやってきました!タウリンスペシャル(vol.2)


タウリンは、人や犬において必須ではないとされています。

ただ、アメリカンコッカースパニエルやゴールデンレトリバーなど、いくつかの犬種においてタウリン欠乏と拡張型心筋症に相関性があるという報告があります。

通常、血液検査の際、血中タウリンを測定することはほぼないので、仔犬時から心臓病発症時まで、どんな変化があったのか追跡するのは難しいのが現状です。

しかし、心臓の機能低下が起きている犬に、タウリンを投与して改善されたという報告は複数ありますので、仮に著しいタウリン欠乏ではなくても、何らかの良い影響はあると考えられています。

実際、人間においても、日常生活に支障があるくらい重度の心不全に陥っている患者さんの治療にタウリンを使用し、良い結果を得ています。

タウリンが、心機能に良い影響を与える仕組みの一つは、心筋のカルシウムイオンの出入りに関与している為です。

心臓の細胞内にカルシウムイオンが入ると収縮。

カルシウムイオンが細胞から出ていくと、弛緩します。

このイオンの出入りの連続によって、心臓は動いているので、そのコントロールがおかしくなると問題が起こります。

タウリンの仕事を一言で表現するなら、”浸透圧の調整”ですが、特筆すべきは双方向に作用できることです。

つまり、細胞内にカルシウムイオンが少ない時は流入を促進し、多い時は流入を制限します。

このようなタウリンの働きは、他の所でも見られ、例えば高血圧の時、血圧を下げる働きをします。しかし正常圧になっている時は、それ以上作用しません。

逆に低い状態であれば、上げるように作用します。

心臓病になると、カルシウム制限をした処方食が必要になりますが、仮にそこまで進んだ状態ではなく獣医さんに「ちょっと様子を見ましょう」と言われた場合や「今は特に症状はないけど、遺伝的に心配」という場合は、日常の食餌にタウリンを取り入れることも一つの方法だと思います。薬やサプリメントではなく、今日からでもご家庭で簡単に実行できるのも魅力だと思います。

タウリンは、全身の細胞の恒常性を保つ働きをしていますので、肝機能に作用して脂質代謝を調整したり、腎炎による腎機能の低下にも活躍してくれます。

また哺乳類の羊水には、母体の血中濃度を上回るタウリンが存在して胎児の脳や神経細胞の発達に強く影響を及ぼしている可能性が指摘されています。

これはタウリン要求量の多い猫での研究ですが、例え母猫の血中タウリンが低くても、妊娠は正常に進むことが分かっています。しかし生まれた仔猫は虚弱で、脳の発達が十分でなかったとあります。

タウリンは脳細胞外のGABAの受容体に作用して、神経伝達の興奮を抑制することも分かっていますので、産まれる前から産まれた後も脳にとって非常に重要な役割を担っているのは間違いありません。

ちなみに、猫のタウリン要求量は0.08%(100gのフードに換算すると80mg)が基準となっています。

弊社のフードは犬用なので、タウリンの基準はないのですが、開発段階から非常に重要な物質だと認識し、犬の健康にも必要だと考えております。

そしてタウリンの特性として、一気に採っても急には作用しないことも勘案し、0.04%(100g中40mg)程度になるよう原材料を組み立てました。

もちろん合成タウリンは添加していません。

全て天然由来のものです!

ペットフードや養殖魚の配合飼料(参照⇒前回ブログ)内のタウリンは基本的に合成なので、測定は加水分解法で行います。

しかし弊社フード内のタウリンは天然物のみなので、遊離アミノ酸分析法で測定してもらい0.04%の含有を確認しました。

(通常、合成タウリンを遊離アミノ酸分析法で測定すると、加水分解法の測定結果の半分ほどになります)

毎日食べるものは、薬ではないので、すぐに目に見える変化はなくとも、より自然な形で続けることが大切だと考えています。

(もう少し続くかも⇒vol.3

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