犬猫の飼育頭数が、15才以下の子供の数を超えた現在。
単にペットと飼い主の関係だけでなく、社会の中で、どう共生していくかという課題を突きつけられているような気がします。
例えば全国各地で頻発する自然災害。
そういった時、これほどの数のペット達は、飼っている人も、そうでない人にも大きな影響を与える現実があります。
避難所には、ペットが苦手な方も当然いて、また特に苦手ではなかったとしても、避難所生活が続くことで鳴き声や匂いがストレスになることもあるでしょう。
またアレルギーや持病がある方にとっては、命に関わる問題で、早急な対策が必要と思われますが、あまり本格的に議論されていません。
とりあえず、国の指針で”同行避難”が提唱されていますが、避難後にどうするか現実的な計画がありません。
例えばよく『日頃からクレート(ハウス)に入る訓練をしましょう』と言われますが、大型犬用のクレートを飼い主さんが避難する際に持参するのは難しいでしょう。(災害時、東京都では環状七号線の内側エリアは、車の通行が制限されますので、基本的に徒歩での避難になります)
また盲点なのが猫です。
犬と違って、自治体に登録がありませんので、正確な飼育数を把握している所はまずないでしょう。
それ以上に、東日本大震災の際、東京でさえ問題になったのが、≪猫が自宅内で行方不明≫問題です。
ケース1:都心から徒歩で深夜に帰宅したら、猫がいない!
呼びかけても返事がなく、探しまわったら、ベランダの室外機の下にはまって動けなくなっていた。
(このお宅はマンションで、トイレがベランダにあるため、専用扉で自由に行き来できる環境でした。しかしもし発生が、真夏だったらと思うとぞっとするケースです)
ケース2:地震発生直後、急ぎ自宅に戻ったが、飼い猫3匹が2DKの室内で行方不明。
呼びかけながら家具の隙間も探したが、鳴き声ひとつなし。
翌日、1匹が餌につられて出てきたが、2匹目は2日後、3匹目が姿を現したのは3日後。
(猫は犬と違って、絶食に耐えられる期間が非常に短く、3日というのはタイムリミットで、危なかった!)
このように猫の場合、災害発生時につかまえるのが非常に難しいのです。
猫もクリッカートレーニングは可能ですが、トレーナーはほとんどおらず、飼い主さん自身も、犬のように”ハウス!”をしつけている方はまずいないと思われます。
先の2ケースは”密室”であったから良かったものの、もし壁や窓の破損があった場合、外に飛び出していたかもしれません。
また首輪に迷子札をつけていても、猫の場合、上下移動が多い行動パターンを考慮して、引っかかった時に外れやすい安全な構造になっているものも多いのです。
(実際、たまにうちでも、ソファやベッドの下に首輪が落ちていることがあります)
また猫用のキャリーケースは、爪が引っかからないようプラスティック製のものが多いですが、皆さんの猫ちゃんの体重はどのくらいですか?
ちなみにうちのは4.1キロですが、これって牛乳4本分です。
スーパーの買い物かごに、牛乳4本を入れて持ち歩くと、取っ手が腕の肉に食い込むし、他の商品を見る気もなくなる重さです。
しかし実際は他に避難用荷物などもあるでしょうから、かなりの重量になることも想定して他のタイプのキャリーも検討してみるといいかもしれません。
(多頭飼いの方はバギーなども)
このように、猫は”同行避難”までにいくつかの課題があります。
また、無事避難できたとしても、まず犬猫のエリアを分けないと双方にとって・・というより避難所全体に混乱(鳴き声・脱走・興奮等)をきたすことが予想されます。
そしてほどなくして今度はトイレ問題が起きます。
犬と違って”トイレシーツがないからリードをつけてトイレをさせに行く”というのは大変難しいと思います。
(実際、災害時の衛生状態を考えると、緊急時ほどトイレシーツを使うべきと考えます。トイレシーツや猫砂は人間用の簡易トイレにも応用できますから、是非多めに備蓄することをお薦めします)
過去に発生した災害を教訓に想定できることは、是非各ご家庭で一度話し合って頂くだけでも、万が一の時に随分と心持ちや結果が違うと思います。
ラブラドゥードゥルの話から、長々と続いた話を読んで下さってありがとうございました。
きっと色々なご意見やご感想を持たれたと思います。
しかし多様な考えのもと、それぞれの出来ることを積み重ねていくことで、きっとよりより社会になるのだろうと信じたいのです。