ドッグショーはしばしば非難の対象になりますが、それほど単純な話ではないと思います。
(正直な所、ステレオタイプの情報しか持たなかった私も、昔は理解しがたい世界だと思っていました)
前回ブログのラブラドゥードゥルのように、その使役を遂行するために、人間が作り出したのが”イエイヌ”です。
人間の都合で作り出したとはいえ、あまりに病気が多く絶滅した(させた)犬種もいます。
そのためドッグショーは
生み出した犬種の健康が保たれているだろうか?
という観点が中心で審査されます。
歩き方⇒関節や腱に問題はないか
頭の姿勢⇒筋肉や骨格は健康か
歯並び⇒食べ物をきちんと噛めるか、飲み込めるか
などなど、その基準を設けた理由は、犬種によって様々なので、これはほんの一例ですが、ドッグショーの審査とは、”美人コンテスト”ではなく”健康優良児”を選ぶのが本来の目的です。
また血統書も、高級ブランドバッグの保証書ではなく、健康な子孫を、正しく繁殖させるため(近親相姦をさける等)の確認書でしょう。
もっとも、飼う側やブリーダーが、ショーの結果や血統書にどういう価値を置くかというのは、人それぞれだと思いますが・・・。
人間が生み出した血統は、人間が責任を持つ義務があります。
本当の良心的なブリーダーは、その責任を果たすべくブリーディングします。
しかし最近は『ブームだから』『小遣い稼ぎになるから』といった軽い動機で始める素人ブリーダーと、販売スペースにいつも仔犬・仔猫が安定供給されていないと困る・・という店側の利害の一致。これが生体販売問題の根源になっていると思います。
企業の使命として
≪消費者の皆様に迷惑をかけないために安定供給体制を作ります≫というのはもっともなことでしょう。
しかしペットに限らず、乳製品、畜産物、魚介類、農産物、それを原料とする多くの加工品は、工業製品ではありません。
生き物です。命を頂いて成り立っています。
牛乳が余っている⇒価格が下がる⇒捨てる⇒それでも追い付かないと牛を処分する。
牛乳不足になった⇒乳製品不足⇒値段が上がる⇒「どうにかしろ」と言われても簡単に新たな牛を購入できない。
牛乳って、本来子牛のためのものですよ。
出産後の限られた期間しか出ないものですよ。
品薄になったからって、すぐ明日から絞る量を増やせるものではないですよ。
(関連記事⇒牛乳のひみつ)
また発泡酒の安定供給のために、いつの間にか遺伝子組み換え原料を使用していた?
遺伝子組み換え技術は、最も研究されているから品種改良に比べるとはるかに安心?!
国が安全を確認している?!
ならば、どうしてそれを自ら消費者に発表しなかったのでしょう。
(このへんの話は、また改めて)
今はブリーダーもネットで簡単に検索でき、しかも良い口コミを書いてくれたら値引きします!なんていう所もあったりするので、何が本当の情報か判断するのが非常に難しい世の中です。
少なくとも『人気犬種だから』『流行っているから』などという理由で、狭い血統の中で繁殖を繰り返したり、安易にミックス犬をブリーディングするなど、言語道断です!
命を預かる仕事である以上、遺伝学や生物学、栄養学等の最低限の知識は学び、試験を受けて資格制になって欲しいと願っています。
(まだ続く・・)