一枚上手の賢さでトムをキリキリ舞いさせるジェリー。
(意味が分からないであろう若い方は、概ね40代以上の先輩に聞いて下さいね)
世界で一番有名なエンターテイナーのミッキー。
(弊社のある葛西は、某”夢の国”の隣町なので、20時半になると鳩時計のごとく花火の音が聞こえます)
世界中の老若男女から愛される彼らですが、現実世界では、農家や畜産関係、はたまた現代建築の集大成というような都会のビル管理者まで悩ます走る病原体ネズミ。
中世ヨーロッパでは、ネズミが媒介したペストが130年間にも渡って流行し、非常に恐れられました。
現代でも、病原体を媒介する危険は変わっていないどころか、離島では、在来植生や小型鳥類の生態系まで大きく乱すことも判明し、そちらも問題視されることが増えました。
その繁殖力の強さで、中途半端に個体を減らしてもすぐ元通り。
”夢の国”は世界中にいくつあっても楽しいものですが、リアルネズミ王国が畑や島で増えるのは非常に深刻です。
そこで時に大規模な駆除作戦をとらなくてはならない時もありますが、農薬取締法等の法律があり殺鼠剤一つでも、使用目的によって色々規制があります。
生育中の農作物や花卉、収穫後に貯蔵している農作物、観賞用の庭園や街路樹には農薬殺鼠剤を使用します。
しかし鶏舎に侵入するネズミに対しては、動物用医薬部外品殺鼠剤。
その鶏の餌を守る場合も同上。
しかし採卵した卵は”食品”になるので、パッキング場やその事務所内は防除用医薬部外品殺鼠剤を使用します。
殺鼠剤の成分は、いくつかありますが、いかんせん人間や家畜のすぐそばで使用するものですから、”劇物指定”されるようなものは認可されていません。
そしてネズミを捕食している野生動物も結構いるので、生態系を守るという観点からも、捕食動物に二次被害が及ぶような成分も使えません。
そこで、よく利用されている成分として、”ビタミンD”があります。
ご存じのように、サプリメントとしても人気のある成分で、ペットフードにもよく添加されています。
以前も取り上げたことがありますが、脂溶性ビタミンというのは許容量の範囲が狭く、扱いが難しいところがあります。
関連記事⇒栄養素と免疫(ビタミンD編)
日照の少ない地域・季節(高緯度の北欧や雪国)では、骨がもろくなることでも分かるように、ビタミンDはカルシウム代謝に深く関わっています。
しかし殺鼠剤としてのビタミンDは、その機能を利用します。
高濃度のビタミンDを摂取することで、全身のカルシウムを集め、急性腎不全を起こさせるのです。
身近にある高濃度のビタミンDは、殺鼠剤だけではありません。
皮膚科で処方される軟膏にもあります。
ステロイド剤より安心・・といった患者側の意向もあり処方されることが増えているようです。
しかし数年前から、それを塗った部分を舐めたことが原因と思われる、下痢・嘔吐・食欲不振といった症状の犬が報告されています。
軟膏の存在を獣医師に話さないと、上記のような症状の場合、通常は胃腸を中心とした治療になると思います。
しかしビタミンDが原因であった場合は透析など、腎臓の保護が必要になり、早めの対処が大切です。
外飼いが当たり前だった時代とは違って、生活の距離が近くなった現在。
『お腹を壊した=感染症?変な物食べた?』
という単純な可能性以外が増えました。
しかも複合的な原因が絡むことも少なくなく、悩ましいところです。