「グルテン(小麦・ライ麦等の胚乳成分から生成されるタンパク質の一種)フリーですか?」
「グレインフリー(穀物不使用)ですか?」
ここ数年、ペットフードの世界も、このキーワードがトレンドになっています。
春夏秋冬で使用している穀物類は、玄米だけですのでグルテンフリーですが、グレインフリーではありません。
最近は人間の方も、”低炭水化物ダイエット”や”グルテンフリー健康法”のようなものが流行り出したこともあり、穀物や炭水化物が殊更悪者になっているような気がします。
確かに、ペットの世界もアレルギー症状は増加傾向にあり、小麦やトウモロコシどころか、牛・豚・鶏、さらに最近は馬・ラム・サーモンにまでアレルギーがあるワンちゃんのご相談を受け、頭を抱えました。
確かに、”過剰な穀物摂取”は腸内の異常発酵を起こし、腸壁に余計な刺激を与え、腸内細菌叢は崩れ、アレルギーや各疾患の原因を作ることがあります。
だからと言って、穀物が全く不要かと言うとそう単純ではありません。
特に、『猫は完全肉食』という言葉が拡散する今、穀物に対する風当たりはかなり強いです。
そもそも”完全肉食”という言葉は、”肉だけを食べる動物”という意味ではありません。
”食餌から、肉を外せない動物”という意味で、別の表現をするなら
”ベジタリアンになれない動物”
という意味です。
(ちなみに猫を、肉だけで飼育した実験もありますが、全頭病気になりました)
つまり犬のように、肉の代わりに植物性タンパク質で、タンパク源を確保することができない・・ということです。
そんな中にあって、世界中のホリスティック医師や栄養士が非常に高く評価しているものに、”米”があります。
日本と同じく、米を食べる文化のあるイタリアでは、”ペット用米”なるものがスーパーで売られています。
もちろんお国柄で、ペット用パスタもありますが、どちらも”飼料”としての”ペット用”ではありません。
”ペットが食べやすい形状のパスタ”であり
”短時間でリゾットができる米”です。
特にリゾットは、生米をスープで煮込み、本来時間と手間のかかる料理だそうです。
炊飯器で、手軽にお米が炊ける生活をしてるので、最初はちょっとピンときませんでした。
そこまでしてペット達にも米を食べさせたいのは、穀物の中で最も消化が良く、胃腸内壁に優しい上、腸内で発酵しづらいためです。
そのため、アレルギー対応食に採用されたり、胃腸疾患の回復食、術後の体力回復時など、多くの重要な場面で使われています。
また1995年には、お米に消化管の内壁細胞を修復する成分も発見され、一気にその評価を確立しました。
犬は比較的下痢しやすいですが、基礎疾患がなく、元気な成犬で、感染症の疑いが排除されたの場合、欧米のホリスティック獣医師が勧める食餌があります。
それは鶏の胸肉とすりおろした人参のスープに、白米を入れて煮込んだものです。
中医学を学んだ獣医師であれば、鶏肉の代わりにホタテを使う方もいます。
ホタテは、貝類の中でも消化が良く、胃腸を整える食材として定番です。
(よく貝類を一括りにして”消化が悪い”と書かれている記事もありますが、ホタテは別格です。火を通せば優れた栄養源になります)
それを一日3回~4回、2~3日与えると単純な下痢はたいてい治まります。
食べ過ぎや冷えからくる下痢などには、とても有効です。
また話題のグルテンも含まないため、日常的に摂ってもアレルゲンにはなりにくい傾向もあります。
一言で”穀物”と言っても、その特徴は様々です。
特にお米は、ひとくくりにして、排除してしまうには大変勿体ない食材です。