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ボロディン反応~音楽家と化学者のわらじ

更新日:2021年2月22日


プロローグ付き4幕で、上演時間は3時間以上に及ぶ大作オペラ≪イーゴリ公≫

『オペラなんか興味ない』という方でも、この中の”ダッタン人の踊り”と言われる曲は、CMやドラマ・映画・フィギアスケートでもよく使われているので、聴けば「あ~あれね」と分かる方もいらっしゃると思います。

この作曲者はボロディンですが、実はこの方”日曜作曲家”と言われていました。

驚くことに”日曜大工”という言葉と同じ意味の”日曜作曲家”です。

実はこのボロディンさん、有機化学の学者としても有名人です。

”ボロディン反応”という現象があるのですが、そのボロディンさんと同一人物です。

優秀な学者が、玄人はだしの絵を描いたり、楽器の演奏をしたりという話はたまに聞きますが、オペラを作曲するなんて、日曜大工で自宅・・どころかマンションを建てちゃったくらいの衝撃です。

しかし、このオペラを作曲中に急逝。

オペラは、オーケストラ・合唱・ソリストたちの歌唱部分とかなりのパーツごとの楽譜が必要です。

そこで、ボロディンと親しくして友人2人が、この遺作を世に出すために尽力します。

まずその一人は、≪シェエラザード≫の作曲者で有名なリムスキー=コルサコフ。

彼はプロローグ・1幕・2幕・4幕と多くの場面の作曲に関わります。

そしてもう一人、リムスキー=コルサコフの弟子であり、彼が”年の離れた同僚”と呼んで非常に信頼していたグラズノフが関わりました。

グラズノフのピアノの上手さや天才的な記憶力は、数多くの証言が残っていて、本人が作曲した曲はあまり有名ではありませんが、音楽界に多くの功績を残した方です。

(でも知られていないだけで、すごくいい曲がたくさんあるんですよ)

このグラズノフの記憶力が、この作品を支えたと言っても過言ではありません。

彼はボロディンがピアノで弾いていたメロディを書き起こし、譜面の断片を集めて第三幕の構成から作り上げました。

グラズノフは後にモスクワ音楽院やサンクトペテルブルクの音楽院(初代院長)で、主に作曲法を教えていたこともあり、彼の教え子にはラフマニノフ、ストラヴィンスキー、プロコフィエフなどがいました。

同時代に活躍していたチャイコフスキーとは、”ライヴァル”と称される時もありますが、チャイコフスキーと家族ぐるみの親しい付き合いがあったようです。

そしてチャイコフスキーもグラズノフも、ラフマニノフの優れた才能に注目していたのですが、そのことが若きラフマニノフを苦しめることになるから皮肉です。

ラフマニノフが音楽院の卒業制作で作曲した一幕物のオペラ≪アレコ≫

これに感銘を受けたチャイコフスキーが、その上演に奔走します。

リハーサルから立ちあい、本番でも客席から観客を誘導する?!ように拍手したり、とにかく全力で応援していました。

憧れの作曲家が、自分の作品を評価してくれたことに夢見心地だったラフマニノフ。

しかしチャイコフスキーは、その年に急逝します。

そのショックも覚めやらぬまま、初めて書いた交響曲第一番は、グラズノフ先生自らが指揮を買って出て、上演する機会が訪れます。

ただ、グラズノフ先生のほとんど唯一の欠点は、『作曲より指揮が好きなのだが、指揮が下手』であることでした。

この時も、演奏会は大失敗してしまいました。

グラズノフ自身が後年

「あの時は悪いことをしたと思う」

と語ったように、自覚はあったようです。


この失敗後、芸術家にありがちな、感受性豊かで繊細なラフマニノフは、次第に精神のバランスを崩します。

しかし数年の治療の甲斐あって回復し、再び作曲した曲が、ソチで浅田真央さんが使用したピアノ協奏曲第二番です。

華々しいデビューの後、その才能が高く評価されながらも、20代半ばの若さで死を考えるほど疲弊し、地獄を見たラフマニノフ。

そこから再び這いあがってきた時に作られた音楽です。

そんなストーリーは、真央さんの姿と重なってしまい演技終了後、思わず涙ぐんでしまいました。

ラフマニノフにとって、あの経験がなかったら、その後の名曲の数々は生まれなかったと思うと人生とは分からないものです。

ちなみに、ラフマニノフ、チャイコフスキー、グラズノフ、リムスキー=コルサコフ、ボロディンの曲には、ワンちゃんやネコちゃんをリラックスさせる曲がたくさんあります。

同じ曲でも、オーケストラ演奏ではなくピアノで演奏されたものがオススメです。

(打楽器の音が苦手な場合があります)

飼い主さん自身も気に入って、リラックスできる曲・演奏を選んで下さいね。

(と最後に無理やり犬猫につなげました(^_^;))

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