ペットフードだけでなく、私たちが口にする加工食品でも良く目にする”植物油”
一言に”植物油”といっても本当にピンキリで、ひとまとめに語るのは難しいのですが、
お問い合わせの中に
「サラダ油は何でダメなんですか?」
「コレステロールゼロのキャノーラ油はダメですか?」
「●〇油はいいですか?」
というようなご質問が増えて参りました。
油について、ご興味を持って頂けたのは、大変嬉しく思います。
脂質は細胞形成において、欠かせない重要な成分です。
今回はいわゆるサラダ油とかキャノーラ油・大豆油のような名前で、1L¥500くらいで(特売の日なら¥298とか!)どこにでも流通している”植物油”について書きたいと思います。
このような植物油は、まず大豆や菜種・トウモロコシなどを砕いて粉状にします。
その粉をギューーッと絞って油を採っている・・とイメージしている方も多いと思いますが、実際はヘキサンという有機溶剤を使って粉状のものから、油を溶かして抜き出しています。
この時点で、二つの懸念事項があります。
①ヘキサンは、灯油の成分
②ヘキサンに溶かした油から、ヘキサンとその匂いを飛ばすために250℃の熱をかける
食用油に灯油が残っていたら、危険ですから、確実に飛ばさなくてはなりません。
ヘキサンの沸点は69℃前後ですが、その独特の匂いを飛ばすには250℃まで上げる必要があります。
(自転車のブレーキクリーナーの主成分はヘキサンなので、あれに似たような匂いがします)
一度250℃にまで熱が加えられた油は、酸化や劣化が避けられません。
ただ、ここで一度酸化ストレスが加えられることにより、保存性が高まるという利点?!もあります。(油も”生絞り”は傷みやすいのです)
しかしその高温加熱時に、神経細胞を死滅させるヒドロキシノネナールや何かと話題のトランス脂肪酸などが作られてしまうことも忘れてはなりません。
植物油の加工方法や、それを摂取した場合の影響に関する研究について、様々な意見があるのは承知しています。
しかし現時点で、私たちはそのような油を使ってペットフードを製造するという選択肢はない・・使いたくない・・と判断した次第です。
では他の植物油なら?という選択肢ですが、基本的に多くの植物性の油は、熱に弱いという特徴がありますので、やはり加工には向かないと判断しました。
では、動物性の油脂ならどうか?
比較的熱には強いので、加熱処理後、すぐに食べれば大きな問題にはならないでしょう。
しかし時間と共に進む酸化は、やはり避けられません。
「”天然の酸化防止剤”と言われるビタミンEを使えばいいじゃない」というご意見もあるかと思います。
確かに、食材に含まれるビタミンEは、その素材の酸化を守る役目もしています。
しかし、”酸化防止剤”として加工食品に添加されるビタミンEの多くはサラダ油同様、加工処理がなされたものです。
何かから精製したり、合成を経てできています。
そのため、何か安全に使える酸化防止剤はないかと、常に研究していますが、抽出・合成方法の問題だけでなく、コストやら量産する技術やらと、現実的な経済ベースに乗せるためには様々な問題をクリアする必要があり、残念ながらまだ実現には至っていません。
このような理由で、油脂類を使用していないため、
『お手数ですが、食べさせる時にお手持ちの油を加えて下さい』とお願いしています。
そして『サラダ油は避けてください』とご紹介している理由もご理解頂けたらと思います。