「ああ~、”たらふく”食べた。。。」
「”やたら”と○○した」
たらふく=鱈腹
やたら=矢鱈
どちらもタラの姿や生態から来た言葉のようです。
タラは大きいものだと20㎏にもなります。
強い顎を持ち、文字通り目の前にいたものは、魚だけでなく、イカだろうがタコだろうが、はたまたエビ・カニといった甲殻類、貝類まで”やたらめったら”食べます。
いわゆるタラコや明太子の原料になるのは、スケトウダラの方ですが、タラチリ鍋や青森の郷土料理じゃっぱ汁はマダラを使います。
じゃっぱ汁とは”あら汁”のこと。
マダラも新鮮なものは、刺身で食べられます。
それ以外の部分、アラや白子・卵などを大根や人参、白菜等と共に鍋で煮込む冬の定番。
地元では生のタラも手に入りますが、最近は近海での漁獲量が減っており、北海道や北米海域で漁をすることも多くなっています。
そうなると、アシの早いタラは当然冷凍して運ぶ必要がありますが、タラ類は冷凍すると微量のホルムアルデヒトが発生します。
ホルムアルデヒトと聞くと、何やら危ない化学物質の印象ですが、細胞代謝の過程で発生することもあるのです。
しかしこれが味の劣化の原因でもあるので、何とかならないものかと研究されていましたが、意外な効果が判明しました。
鍋の定番野菜大根や白菜に含まれる亜硝酸は、動物性タンパク質に含まれるアミンと反応するとニトロソアミンを作ります。
これは発がん性が指摘される物質で、加工肉(ハム・ソーセージ等)でもたびたび問題になっています。
ところが、冷凍タラを加熱すると、ホルムアルデヒトがチオプロリンという物質を作って、これが亜硝酸を捕まえて体外に排泄してくれることが分かったのです。
タラは水揚げしたとたん凍りそうな極寒の海で揚がる魚の代表でもありますが、自然は本当に良くできています。
イギリスの名物料理・フィッシュアンドチップス。
ジャガイモにも亜硝酸は含まれますから、この組み合わせも絶妙です。
長く親しまれてきた食事は、洋の東西に関わらず、相性ばっちりの食材で構成されているのは偶然でしょうか。
”冷凍”ものというと、”生”より少し劣るような気がしてしまいますが、必ずしもそうとは言えないですね。
”生”には生の良さがあり、”冷凍”には冷凍の良さがあります。少なくともタラはお料理によって、”冷凍”もオススメです!