
「山の水を田んぼに引くために、水路を掘っている」
「水路?」
りんごろうは背後に広がる平野を見渡しました。
「この土地は冬が厳しい。しかしその雪解け水は、瑞穂の恵みとなる」
大男は空を見上げ
「自然は思い通りにはならない。しかし少しだけ我々が手助けすることで、実るものは多い」
と言いました。
りんごろうも天を仰ぐと、大男の言葉を引き継ぐように言いました。
「実りがなければ、私たちは生きていけない」
大男は大きくうなづき
「いかにも」

サルは
「そのために水路を掘っていたのですね」
犬は
「この地の”ロマン”ですな」
ウミネコは山へ戻っていく鷹を見つけ声をかけました。
「鷹さ~ん、この人は鬼ではありませんでした」
鷹は短く返事をすると、皆の頭上で一度旋回してから山へ向かいました。
一同は豊かな大地をしばらく眺めていました。
ぎゅるぎゅるぎゅる~
静けさの中、りんごろうの腹の虫が豪快に鳴きました。
皆に注目され、恥ずかしそうな表情をするりんごろうに大男が
「皆さんがお持ちの野菜で、鍋でも作り食べませんか?」
と提案しました。
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