「そこの鬼!このりんごろうが、退治してくれるわ」
大男は手を止め、突然現れたりんごろうと3匹の家来を見て、きょとんとしました。
「鬼?なんのことだ?」
大男はよく陽に焼けた額の汗を手ぬぐいで押さえました。
「さっき自分で”オニ”と言ってたであろう」
「確かに一人で掘っていると”おに~”であるからな」
今度はりんごろうと家来たちが、きょとんとしました。
「海の遥か向こうにある私の故郷では、”つらい”ことを”おに~”と言う」
「さすれば、そなたは、海の遥か向こうから渡来してこの地に?」
「いかにも」
「りんごろうさん、どうも誤解だったようですね」
犬がそう言いました。
りんごろうが深くうなづくとウミネコは
「山ひとつ向こうの住人とでさえ、言葉が違うのに、そんなに遠くから来た方と言葉が違うのは当然でしょう」
「いかにも・・・我々の勇み足であったようだ」
意気消沈するりんごろうを気遣ったサルは、努めて明るい声で大男に聞きました。
「しかし御一人で、一体何を掘っているのですか?」
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