むか~し昔、ある所にりんごろうという勇敢な若者がおりました。
ある日のこと「山から鬼が下りてきた!」という村人の話を聞きつけ、鬼退治に立ち上がりました。
「村の平和を守るため、私が成敗してくれる!」
はやる気持ちを抑えながら険しい道を歩いていると、北の方から北限のサルがやってきました。
「りんごろうさん、どこへ行くのですか?」
「鬼退治です!」
「それは大変だ。りんごろうさんのお腰につけた筋子のおむすびを、一つくれたら家来になります」
「それはありがたい。それではおむすびを一つあげよう」
北限のサルがおむすびを頬張っていると、東の方からウミネコが飛んできました。
「りんごろうさん、どこへお出かけですか?」
「北限のサルを家来に、鬼退治へ行くところです」
「それは大変だ。私は空が飛べるので、きっとお役に立てると思います。家来にしてくれませんか?」
「それはありがたい。それでは今朝揚がったばかりのイワシを一つあげよう」
りんごろうがイワシを投げると、ウミネコは見事な空中キャッチを見せました。
「ほほう・・これは素晴らしい」
しばらく歩いていると、今度は西の方から毛がわさわさした大きな白い犬が現れました。
「りんごろうさん、いづこへ?」
「北限のサルと東のウミネコを家来に、鬼退治へ向かうところです」
「それは面白い。そのお腰に挿してある棒ダラを一本くれたら、私も家来になろう」
こうして3匹の家来を引き連れたりんごろうは、鬼がいる村までたどり着きました。