むしゃむしゃと竹を食べる姿が愛らしいジャイアントパンダ。
しかし分類は”ネコ目(食肉目)クマ科”
クマ科・・というのはその容姿から納得できますが、ネコ目つまり食肉目の仲間にいるのはちょっと意外ですね。
ネコ目ということは、犬・猫とも親戚だし、オオカミやライオンまでお仲間です。
これらのグループに属しながらも、ご存じのようにパンダは肉食をしません。
しかしパンダの持つ遺伝情報は、完全に食肉目のものです。
つまり肉のタンパク質を分解する酵素を作ることができる遺伝子をいっぱい持っているのです。
一方で、竹のような植物性の多糖類を分解する酵素を作る遺伝子は一つも持っていません。
かと言って、草食動物が備えている複数の胃や長い腸・巨大な盲腸などを持っているわけでもありません。
実はこのへんが、”珍獣”に数えられる理由の一つです。
遺伝子もない、食生活に見合った消化器官もない・・・なのにあの巨体を維持できる不思議。
近年、パンダの腸内微生物の遺伝子解析が進んだ結果、植物性の繊維を分解する遺伝子が見つかりました。
その遺伝子は、草食動物の腸内に棲み着いている微生物によく見られるものでした。
その昔、理科の時間に『食べ物は各種酵素によって分解され、小腸から吸収されて栄養になる。繊維質など消化されなかったものは大腸に送られる。大腸では水分を吸収し、残りは排泄される』と習いました。
ところが、実際は大腸に棲む微生物自身の酵素によって排泄直前の”残り物”は分解され、微生物の栄養として利用されているのです。
≪分解≫が行われるということは、当然その残渣物もあるので、『大腸ではその残渣物と水分が吸収され、血液に乗って運ばれる』ということになります。
つまり理論上その動物が『身体に吸収できない』とされている物質も、腸内微生物の働きで分解された結果、吸収できる形になる場合があり得るということです。
パンダの場合、毎日平均12㎏の竹を食べますが、腸内微生物の力を持ってしても消化できるのはわずか2㎏ほど。
しかしそのたった2㎏の消化物で、体が維持されているのです。
それを知ると、食品のカロリーとはなんぞや?と思わざるを得ません。
腸内微生物というと、何かを”分解”することに目が向きがちですが、同時に”吸収”にも大きな役目を担っています。
最も身近で、文字通り”一心同体”のペットとも言える腸内微生物。
そのペット達の顔つきも顔ぶれも人数(?!)も私たちが食べるもの次第。
大事に育てていきたいですね。
しかし・・・・パンダは何で肉食やめちゃったんでしょうか?
そして消化されない10㎏の竹に何か役目はないのでしょうか?
まだまだ秘密がてんこ盛りのパンダさんです。