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腹の虫(遺伝子vol.3)


『腹の虫が治まらない』

『腹の虫の居所が悪い』

こんな言葉を何気なく使っていますよね。

時に本心を探ることを

『腹を探る』と言ったり

心の中で何かを企んでいるような人を

『あの人は腹に一物ある』などと言ったり。

あれこれ考える司令塔は、”脳”ということになっていますが、昔の人は”お腹”に存在する何か(虫とか一物とか)が人の感情や性格に影響を与えていると考えてきたフシがあります。

単なる比喩と思われていたこれらの表現が、近年科学的に正しかったと証明されつつあります。

例えば、緊張してお腹がグルグルしてくることはありませんか?

あるいは胃のあたりがキューっとするとか。

つまり精神的な影響で、胃腸に何らかの症状が出る経験は多かれ少なかれあると思います。

精神⇒胃腸

これが胃腸⇒精神という、逆ルートもあり得ることが腸内細菌の研究で判明しつつあります。

つまり腸内細菌のどのグループが多い・少ない、ということが性格や気分に影響を与えているというわけです。

俄かに信じ難いかもしれません。

しかし『食生活を変えたらイライラしなくなった』というような話を聞いたことはありませんか?

もちろん栄養的にバランスが取れた食事は重要ですが、常に完璧な食事を摂ることは不可能です。

しかし少し気を付けるだけで、体調が変わるのを感じることがあります。

それは腸内の細菌類のバランスが変わるからです。

多くの生物が、例えばアミノ酸分解が得意な微生物、植物性繊維の分解が得意な微生物等、多様な微生物と共生しています。しかしそのバランス如何によって、分解だけでなくエネルギーの生産・取り込みにも差が出てくることが分かってきています。

遺伝子解析が進み、肥満に関わる遺伝子の存在は認められています。

しかしその遺伝子が、仮に最悪の組み合わせで存在していても、実際の体重に与える影響は8%ほどしかないとのこと。

それより、体内に共生する微生物の顔ぶれと比率が、体重に与える影響が大きい。

ここまで解明されてくると、体重管理にはカロリーコントロールより微生物コントロールの方がより実用的ということになります。

我々を構成する遺伝子(もし良かったらこちらも→ご参照下さい)から、体重、食事の好み、性格、感情までが腹の虫(共生微生物)の影響というのは、認めたくないような、信じたくないような・・・

ああ、腹の虫が鳴き始めたので、今日はこのへんでお開きにしたいと思います。

だいぶ気温が下がってきたので、おでんにしようかな・・・。

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